2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧
用語を準備しておきます。まず、ここでは分数とは整数/整数を意味するとしておきましょう。既約分数とはもう約分できない分数のこと。例えば3/5とか、15/2などです。有限小数とは3.6901などのように、有限桁で終わる小数のこと。定理には出てきませんが、…
円周率πの範囲を調べましょう。π=3.14……だということはご存じだと思います。しかし、「証明しろ」と言われたら? これは結構難しい。実は前、東大の入試で円周率の値に関する問題が出ていたそうです。「円周率πとするとき、π>3.05 であることを示せ」とい…
スターリングの公式を紹介しましょう。これを使うとn!(nの階乗。例えば5!=5・4・3・2・1=24)の近似値を求めることができます。しかし、そもそもn!というのはn!なんだから「何のための近似値なんだ?」と思うかも知れません。でも「nが増えると…
GPSの話をしましょう。GPSとは「Global Positioning System」(全地球測位システム)の略です。地球の周りを回る何個かの人工衛星から電波を受け取り、自分が今どこにいるのか調べる(測位といいます)ことができる、アレです。GPSのための人工衛星は20個以…
東京スカイツリーは高さ634mです。てっぺんまで登ると地平線は何メートル先に見えるのでしょうか? 以下、特に断りがなければ単位はmです。図の円は地球で、半径をRとしています。高さhまで登ると地平線はAの所に見えます(地上の、Aより先にあるもの…
世界中に碁石がいくつあるかは分かりませんが、n個としておきましょう。実は、数学的帰納法を用いて「世の中の碁石n個は全て同色である」……①という事実を証明できるのです。「そんなバカな!?」と思うでしょうが、まあ見てください。数学的帰納法の証明は…
何年も前に買ったDVDをまた見てみました。『電子立国 日本の自叙伝』です。6枚組で内容は「新・石器時代 驚異の半導体産業」「トランジスタの誕生」「石になった電気回路」「電卓戦争」「8ミリ角のコンピューター」「ミクロン世界の技術大国」となってい…
100年ほど前のことです。イギリスのアラン・チューリングという数学者が「チューリングマシン」という仮想的な機械を考えました。コンピュータどころか電卓もない時代ですが、チューリングマシンはある意味、現代のコンピュータと同じ働きをします。たまに「…
ある整数値が決められました。例えば金庫の解錠の番号だとしましょう。安全のため、長目に12桁です。この金庫はある人の所有物で、この人以外の4人にも解錠できるようにしたいと考えています。しかし4人全員が解錠の番号を知っていると、ある1人が悪い気を起…
西暦2199年、地球は宇宙の謎の星、ガミラスの遊星爆弾による攻撃を受け、海は干上がり、大気は汚染されます。地上に住めなくなった人類は地下都市を築きますが、滅亡まであと1年しかありません。その1年前、2198年から地球は16万8千光年の彼方のイスカンダル…
××××年問題というのがコンピュータの世界にいくつもあります。少し前には2000年問題。西暦2000年になった瞬間にコンピュータが誤動作を起こす、というものです。コンピュータを動かすためのソフト(プログラム)は人間が書きます。このときソフトの内部で年…
2036年問題について書きましょう。Windowsでは、Windows2000以降(もちろん今のWindows10なども)、インターネット上のタイムサーバー(あちこちにある。コンピュータで動く、これもソフトウェアです)を利用してパソコンの内部時計を定期的に正しい時刻に修…
1. ある定理(ある級数の収束に関する定理)の証明の最後の方に右のような不等式が出てきました。nは自然数(1,2,3,………)です。 なぜ成立するのか特に何の説明もないですし、じゃあ簡単に示せるのか? (最悪、導関数を求めて証明できるんだろうけど)し…
三国志に「石兵八陣(せきへいはちじん)」というのが出てきます。三国志というのは古い中国の魏、呉、蜀の物語。漢の終わり頃から三国時代、晋の始めまでの話です。自分の作戦ミスで呉の陸遜(りくそん)に追い詰められる前線の劉備玄徳(りゅうびげんとく)。…
映画『エクス・マキナ』を見ました。IT企業の社員ケイレブが、人工知能を搭載した見た目は女性のロボット、エイヴァを相手にチューリングテスト(※)を実施します。場所は会社の社長でエイヴァの開発者、ネイサンの山の中の別荘です。ケイレブはエイヴァと…
近いことは何回かブログで書いていますが、まあいいでしょう。少し違う書き方で……。 数学ができるようになるのにどうしたらよいか、「コツが分からない」などと言う高校生がいます。そんなもの、ないよ……。そもそもそんな都合のいいものがあるんなら誰も苦労…
『宇宙創成(上)』(サイモン・シン2009新潮文庫)を読みました。天文学がどう発展してきたのか、古代から現代まで、人間が宇宙をどうとらえていたのか書いてあります。科学史ですね。昔は観測技術もなく、宇宙の真の姿はもちろん、地球のことすら分かって…
『高校数学でわかる相対性理論』 (竹内淳2013講談社ブルーバックス)を紹介しましょう。実際には「高校数学」だけで完全に理解、というのは難しい部分がある気はしますが、それでも素晴らしい本だと思いました。アインシュタインの特殊相対性理論から、速く走…
高木貞治(ていじ)(1875~1960)は数学者、専門は代数学です。当時、微分学の定理であるにもかかわらず、それまでは積分学を用いて証明されていた定理がありました。高木先生はこれをよくないと考えたんでしょう、微分学の知識のみで証明することを試み、成…
微分法を使った、解の近似値を求める方法を説明します。ニュートン法と言います。ここではの正の解を求めてみましょう。これはつまり、を求めることになります。 まずy=-3のグラフ上の、x=pでの接線の方程式を求めます。 y’=2xですから、公式(教科…
高校2年生の数Ⅱで(一応)実数の実数乗を定義します。それまで2の3乗など、自然数乗ばかりだったのが実数乗に拡張されます。なら、2を3個かけ合わせる。では2の乗なら? 「2を4/3回かけたもの」ではないのでした。「2を4乗した数の3乗根」が正解です。無理…
隣合う項の符号が違う数列の和を交代級数と言います(あるいは交項級数)。要するに正の項と負の項が交互に並んだ数列の和です。今回はこの交代級数について書きます。 さて、準備。まず用語です。 数列{}が定数Mに対して (n=1,2,3,…)を満たしていると…
冷静に考えてみてください。「どうして1+1 = 2なのか」説明できますか? いや、その前にそもそも自然数(1,2,3,……)って何ですか? 負の数とか言って平気で「-2」なんて書くけれど、-2って一体何ですか? ……日頃何の疑問も持っていなかったことが実は…
わざわざエッセイを買って読む場合、同じテーマでも切り口が新しいとか、目からウロコの議論だとか、そんなのを求めてしまいます。阿刀田氏を勧めます。ショートショートの名手、ということになっています。実際そうなのですが、しかしぼくは彼のエッセイが…
次の問題を考えましょう。 -----------------------------自然数aは3で割ると1あまり、5で割ると2余り、7で割ると3余る。aを105で割った余りはいくつか。-----------------------------105=3×…
高校生がこの問題を解くなら、たいてい以下のようにやるでしょう。 あとは平方完成でもすればいいですね。しかし、①から③を導きましたが、今回は①が簡単だったのでそれでよかったのです。①の代わりにとかだったらどうしますか? つまり、1変数について解き、…
ブログで紹介したアメリカの刑事ドラマ『刑事コロンボ』 倒叙もののドラマ、刑事コロンボ - いぬおさんのおもしろ数学実験室 に「殺しの序曲」という回があります。中でパズルが出てきました。シグマ協会という団体があります。この団体への入会資格はただひ…
フェルマーは関数の極値の求め方を知っていたようです。「フェルマーの最終定理」で有名なあのフェルマーです。フェルマーは17世紀のアマチュア数学者です。彼は「3以上の整数nに対し、を満たす整数x、y、zは存在しない」と予想しました。そして、「この…
自然数(1,2,3,…)のうち、1は素数ではありません。これは約束です。そう約束したい理由はありますが、ここでは略。残る2,3,4,…で、1と自分自身以外の数では割りきれない数を素数というのでした。例えば7は素数ですが、6は素数ではありません。6は2や3…
ある高校の2学年、あるクラスで「近く数学の抜き打ち試験を行う」とアナウンスされました。しかしこれに対し、数学科のA教諭、そして生徒の一部から「試験の実施は不可能である」とクレームが出ました。主張は以下の通りです。 抜き打ち試験はどんなに遅く…