いぬおさんのおもしろ数学実験室

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映画『エクス・マキナ』紹介、人工知能について

 映画『エクス・マキナ』を見ました。IT企業の社員ケイレブが、人工知能を搭載した見た目は女性のロボット、エイヴァを相手にチューリングテスト(※)を実施します。場所は会社の社長でエイヴァの開発者、ネイサンの山の中の別荘です。ケイレブはエイヴァと会話を繰り返すうち、彼女に惹かれるようになります。エイヴァは建物の中に拘束されているんですが、「私を連れて出て欲しい」と言うようになります。……いやー、ハッピーエンドでもないし、エイヴァの開発者がやっていることがイマイチ納得いきませんし、うーん……。でも面白かった……と言っていいと思います。今人工知能が話題になってもいるし。内容に触れることなのではっきり書けませんが、人工知能の開発の過程で、映画のようなことが実際に起こっても不思議ではないと思いました。

  今までだって大学で人工知能の講義くらいはあったはず。でもこの先、技術者もたくさん必要になりますし、講義どころか「人工知能学科」くらいできるのかも(もうある?)。勉強してみたいです。一般向けの易しい本は何冊か読んでいて、「シンギュラリティ(特異点)」に触れているものもありました。人工知能は放っておいてもどんどん賢くなりますが、ある瞬間を越えるともう人間には手がつけられなくならなくなります。自分自身の複製を造ってそれらが連携したら、成長のスピードはいくらでも上がる(複製もまた複製を作る!!)わけです。そういう考えに否定的な人もいるみたいですが、想像力を豊かにして考えてみないと。起こったら終わりかも知れないんだから。

 いまだに「知識の量では人間は人工知能に負ける」といった意見を聞くことがあります。もはやそんな話ではなく、そもそも分野によっては人間はもう人工知能にかないません。「人間はAIなんかとは違うのだ」と言いたい気持ちも分かりますが、将棋や囲碁の世界などで何が起こったか忘れてはいけません。まずいのは「人間と人工知能は違う。×××の分野(芸術とか……)で人工知能が人間にかなうはずがない」といった根拠のない信念です。

 「この先、人工知能はナシ!」というわけにはいきません。いろいろ考えてみましょう。

(※)チューリングテストとは……数学者チューリングが提案した、機械(ロボットとか)が知能を持っているかどうか判断するための試験です。衝立(ついたて)を挟んでロボットと会話をしたとき、衝立の向こうにいるのが人間なのかロボットなのか区別できなければそのロボットは思考していると言ってよい、というものです。