いぬおさんのおもしろ数学実験室

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試験で分配法則を使ったら、それが分かる式を書かないと減点だ!!

 中・高で教えている同僚の先生に聞きました。勤めている中学校では試験のとき、次の答案は減点になるのだそう。
2a×(3b+4c) = 6ab+8ac
分配法則を使ったら、それが分かる式を書かないといけないらしいです。例えば
2a×(3b+4c) = 2a×3b + 2a×4c = 6ab+8ac

のように書くよう、授業で説明するのです。ネットで調べましたが、採点基準について上のような具体的な例は見つかりませんでした。多分学校毎の決まりなのだろうと推測しました。
 小学校でもかけ算の順序でバツになったりマルになったりすることがあります。前、ブログで書きました。

www.omoshiro-suugaku.com

高校でも無茶な採点基準を堂々と採用しているところがあります。これも書きました。

www.omoshiro-suugaku.com

 小学校では、場合によっては中学校でも、まあ分かる部分はあります。適当に(でたらめに、あるいは何となく)計算する生徒がおり、それではダメなのだ、と教えるためでしょう。多分。それでも中学でさっきのように採点、というのは勘弁して欲しいです。バカバカしい、他に教えることあるでしょ、という感じです。そもそもこんなの、数学の話ではないでしょう。それにいわゆる「途中式」は、「とにかく書けばよい」というものではありません。1行増やせば書き違いの可能性も高くなるし、冗長になれば(書いている本人にも採点者にも)ポイントは分かりにくくなります。数学科の方針で「そういう採点基準がよいのだ!」ということなら好きにすればいいですが、「自分たちは妙なことを他人に押しつけているのでは……?」という視点がなさそうなところは気味が悪いです。
 採点基準は学校(の数学の教員)が決めます。自分たちで決めたことがルールになるのですから、それは気持ちいいことかも知れません。しかしそうなると「これ、なんだかヘンな気がするけど……」という発想がなくなるのは自然です。「この学校ではこうしている!」で解決、非常勤など外から来た人間がどう感じようが気になりません。
 ぼくは「これは数学の答案の採点基準として考えられない」など、はっきり言います。このレベルだと相手は何を言い出すか分かりませんから理論武装しておくことは必要ですが、とにかく「バカバカしい」と考えていることが伝わるようにした方がいいと思います。そうすれば「なぜバカバカしくないのか」、頑張ってその理由を説明してくれるかも知れません。