いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

2019-01-01から1年間の記事一覧

階差数列からもとの数列を求める公式で「n=1のときは不成立」の例

数列{}の階差数列{}からもとの数列{}を求めます。公式がありました。 というものです。これを用いれば のとき、もとの数列は以下のように求められます(n≧2)。 これはn=1でも成立します。ところで……n=1では成立しない例はあるのでしょうか? 教科書などで…

waveファイルの作り方を分かりやすく解説

この記事に直接関連した内容の書籍をブログ管理人が出版しました。記事をリファインして、極力詳しく解説しています。見ていただけるとうれしいです(2022年5月15日(日))。↓Python基本サウンドプログラミング~周波数分析,高速フーリエ変換(FFT)入門~作者…

waveファイルで、サウンドデータの符号を一斉に反転するとどうなるか?

この記事に直接関連した内容の書籍をブログ管理人が出版しました。記事をリファインして、極力詳しく解説しています。見ていただけるとうれしいです(2022年5月15日(日))。↓Python基本サウンドプログラミング~周波数分析,高速フーリエ変換(FFT)入門~作者…

Pythonで3Dの散布図、グラフを描く

そろそろ「複数枚の写真から立体を再現」を実験してみたいと考えています。そのために必要そうなコードを整理しておきます。立体の散布図です。与えられた3次元の点をプロットします。次に(x,y)から式を使ってzを計算し、空間内の点を求めてプロットしてみ…

waveファイルの音楽の高音成分をカットして保存し直す

この記事に直接関連した内容の書籍をブログ管理人が出版しました。記事をリファインして、極力詳しく解説しています。見ていただけるとうれしいです(2022年5月15日(日))。↓Python基本サウンドプログラミング~周波数分析,高速フーリエ変換(FFT)入門~作者…

グラフが下に凸であることを利用した、不等式の証明(2)

前回の続きです。関数y=f(x)のグラフは下に凸であると仮定しましょう。このとき、前回の話によると が成立するのでした。証明は3角形の重心を使ったものだったのですが、別の示し方もあります。まず、 p,q≧0 かつ p+q=1 のとき f(pa+qb) ≦ pf…

グラフが下に凸であることを利用した、不等式の証明

以前、こんな記事を書きました。 ノットイコールの書き方を注意された - いぬおさんのおもしろ数学実験室 その中でこういう問題に触れました。 右側の不等号が成立することは下の図から明らかです。一般に、下に凸のグラフがあれば が成立するのです。 変数…

2元1次連立方程式の加減法は「解きっぱなし」でよいのか

2元1次連立方程式を考えます。ax + by = c, dx + ey = f というやつです。それぞれを①、②として、「①+②×4より……」などとやって変数を消去するのでした。数学の議論は「AならばB,BならばC,……」と繰り返して進むことが多いですよね。方程式を変形しながら解…

pythonでリアルタイムに動くグラフを描く

Pythonのmatplotlibでグラフを描画するのは便利で易しいのですが、普通にshow()で描画するとそこでいったん止まってしまいます。時間を追って変化するグラフは描けません。調べるとpause()というのがあるようで、試してみました。plt.show(0.1)の行です。描…

とある大学入試問題の続き

111……10……0(a桁の数。0はb桁あるとする)が2019で割り切れるようにa,bを定めてください。これはとある大学入試問題の言わば続きで、もとは「割り切れるようなa,bが存在することを示せ」みたいな問題だったと思います。これを見て、同僚が「実際のa…

エラトステネス、地球の周を測る

古代ギリシアで、エラトステネスは地球の周を測りました。夏至の日の正午、シエネでは深い井戸の底に日が差すのだそうです。図を参照してください。 同じ日の同じ時刻にシエネから当時の距離の単位でa=5000スタディア離れたアレクサンドリアではθ=7.2°で…

『パラドックスの世界』紹介

少し前にブログで3冊のうちの1冊として紹介しましたが、今回やや詳しく解説します。『パラドックスの世界』(田村三郎1981講談社ブルーバックス)です。 www.omoshiro-suugaku.com 婚約者を悲惨な事故で失った地球の技術者、失意の三田(みた)さんが銀河系…

PythonでscipyのFFT、IFFTを使った分かりやすい例(2)

この記事に直接関連した内容の書籍をブログ管理人が出版しました。記事をリファインして、極力詳しく解説しています。見ていただけるとうれしいです(2022年5月15日(日))↓ Python基本サウンドプログラミング~周波数分析,高速フーリエ変換(FFT)入門~ 作者…

PythonでscipyのFFT、IFFTを使った分かりやすい例

一部書き換え(グラフを含む)ました(2020.1.4)。 備忘録も兼ね、とにかく分かりやすい例を挙げます。説明も十分にしますので、少し前に書いた記事を参照しながらお読みください。 なお、この記事に直接関連した内容の書籍をブログ管理人が出版しました。…

『引き抜き屋(1)』紹介

『引き抜き屋(1)鹿子小穂の冒険』(雫井脩介2019PHP文芸文庫)を紹介しましょう。引き抜き屋とはヘッドハンターのことです。キャンプ用品、アウトドアウェアなどを開発、販売する「フォーン」は創業以来の30年で売り上げ140億の会社に成長しました。社長の…

ベイズの定理を使いやすく! ちょっと不思議な事実も紹介。

ベイズの定理を使う問題を見てみましょう。 問1 袋Aには赤球3個、白球2個、袋Bには赤球2個、白球4個が入っている。AからBへ目をつぶって球を1個移した。(1)Bから1個取り出すとき、赤球が出る確率を確率を求めなさい。(2)Bから1個取り出したところ、それ…

徒然なるままに読書の話を

たまには……徒然なるままに、読書について語りましょう。趣味はいくつかあるのですが、ひとつは読書です。特に理系っぽい新書が多いです。文庫も多く、東野圭吾氏のものは割とよく読みます。その他ミステリー、エッセイ、ジャンルはいろいろですが、読んでい…

『「世界征服」は可能か』紹介

『「世界征服」は可能か』(岡田斗司夫2007ちくまプリマ-新書)を読みました。著者の岡田氏はかつて「ガイナックス」というアニメ製作会社を立ち上げ、ヒット作も生み出した、その世界の一流のプロです。「レコーディングダイエット」の考案者でもあります…

アクティブラーニングについて考える

何年か前、学校の数学科の研修に行ってきました。あちこちの学校の数学の先生たちが「うちの学校ではこんなことをやっている」というのをレポートに書き、発表しあう、みたいな会です。若い先生が多く、最近の流行で「アクティブラーニング」「ジグソー法(…

角の3等分問題を解説(4)(3等分問題の最終回)

第4回、最終回です。前、こういう記事を書きました。これを使います。www.omoshiro-suugaku.com この記事によると、3次方程式 の解を作図できるかできないかで20°の角を作図できるかできないかが決まります。★の解をβとしましょう。拡大Q(β)/Qの拡大次数…

角の3等分問題を解説(3)

QからQ(√2)を作りました。√2を付け加えて新しい大きな体を作ったので、これを体の拡大と言い、Q(√2)/Q と書くのでした。また、Q(√2)に√3を添加するとQ(√2,√3)になりますが、このQ(√2,√3)/Q(√2)も体の拡大です。ここで拡大次数について説明しま…

角の3等分問題を解説(2)

作図の際には定規とコンパスを使う、というルールがあるのでした。ところで定規とコンパス以外の器具を使うとどうなのでしょうか。例えば、トマホークで角を3等分できます。図で太線の部分がトマホークです。 構造から、∠AOEを3等分した角は∠COEとなり…

角の3等分問題を解説(1)

少し前、ブログで古代ギリシャの三大作図問題について書きました。その中の、角の3等分問題について何回かに分けて説明してみましょう。過去の記事はこれです。↓ www.omoshiro-suugaku.comwww.omoshiro-suugaku.com 紀元前5,6世紀頃からギリシャの幾何学者…

「1/2と2/4は『同値』」なのか?

高校の先生が、採点の時など「正解は1/2だけど、2/4とか3/6とか、同値な分数もマルにしましょう」とか言うことがあります。……こういう「同値」の使い方はいけません。文脈からして彼らは「1/2と2/4は値が同じである。つまり同値である」と思っているの…

FFT(高速フーリエ変換)の実験、パラメータなどの解釈(2)

続きです。グラフの縦軸の目盛りに関しては別の機会に説明するとして、今回は特に横軸の目盛りの読み方について。まずは基本的な事実を確認しておきます。みなさん分かりきっているからなのか、あまりこういう形にまとめられた資料を見ることがありません。…

FFT(高速フーリエ変換)の実験、パラメータなどの解釈(1)

少し前、このブログでフーリエ変換について書きました。 www.omoshiro-suugaku.com 量が多くなりますので何回かに分けますが、実際にFFTのコードを書くにはどうしたらいいのか、出てきた結果をどう解釈したらいいのか、など具体的に書いてみます。備忘録を兼…

電子書籍リーダーの使用感

何年か前、電子書籍リーダーを買いました。買ったばかりの頃はよく使っていましたが、うーん……。よい点、悪い点、両方あります。まずよい点から。①ぼくは本を結構読むので、とにかくたまります。重いし、引っ越しの時はいつもすごく大変です。時々処分してい…

√2、2√2、3√2、……の小数部分について成立する、とある事実

区間[0,1]をIで表すことにします。Iに含まれるどこのどんな狭い区間にも、√2,2√2,3√2,4√2,……の小数部分のどれかが属します。これを証明しましょう。 nを自然数とし、n√2の小数部分を(n√2)’と書くことにします。この記号はこのブログのこの記事だけ…

古代ギリシャの3大作図問題

古代ギリシャの「3大作図問題」というのがあります。それぞれを簡単に説明してみます。どれも使える道具は定規とコンパスだけです。------------------------①任意に与えられた円と同じ面積の正方形を作図せよ(円積問題)半径1の円…

「分からない」はいけないのか?

卒業式の歌、「仰げば尊し」で「今こそ別れめ」という一節がありますが、ぼくは「別れめ」は「分かれ目」だと思っていました(係り結びで「こそ~め」に意味があるんですよね。「今こそ別れよう」)。「小さい秋見つけた」の「うつろな目の色」も、「うつろ…