いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

数学

背理法の証明でこれをやってはいけません(2)

前、同じテーマで書きました。 www.omoshiro-suugaku.com 今回は実際の問題と解答の間違いを取り上げましょう。ある問題集に載っていました。「mn(積)が奇数ならばm,nは奇数であることを示せ」という問題です。背理法で証明します。これ自体は特に難…

勾配降下法とは何か、分かりやすく説明します(2)今回は2変数関数!

今回は次の2変数の関数で勾配降下法を試してみましょう。 の最小値を求めます。前回は1変数の関数でしたので普通の微分係数を求めました。2変数だと、「xで微分する」「yで微分する」という操作が必要です。偏導関数と言うのでした。プログラムの gx(x, y)…

勾配降下法とは何か、分かりやすく説明します

関数の最大値や最小値を求める、勾配降下法について説明します。「微分すればすぐ分かるのに……」などと思うかも知れません。しかし、関数と言ったって常に明確に式の形で与えられている保証はありません。そんなときには導関数は直に分かりません。それでも…

偶順列、奇順列について

1から7までの自然数を並べます。並べ方は7!通りあるのでした。並べたひとつひとつの列を順列と呼びます。従って順列は全部で7!通りあります。この順列に対し、転倒数という数値を定めます。例えば順列「1274356」を考えます。先頭は1。この1より大きい数は…

2クラスで実施した試験の平均点に差があったら実力は違うと考えてよいのか?

統計学、面白そうなのですが、なかなか勉強のための時間を取れません。しかし一応あちこち調べ、(理論的に納得したわけではないけれど手順については)納得して実用にできそうな部分を整理して載せておきます。 教員にありがちなことです。例えば1組と2組の…

あみだくじはなぜくじに使えるのか

こんなのをあみだくじと言いました。 この例では、例えば上の1を選ぶと下の5が当たります。このあみだくじ、縦線が何本でも横線が何本でも、必ず異なる番号は異なるゴールに対応します。例えば 1→5、2→5 などと対応してしまうことはありません。なぜでしょう…

ダムに取り付けた窓から毎秒流出する水量を計算する

次の問題を考えましょう。 -------------- ダムに取り付けてある1辺の長さa(cm)の正方形の窓(穴)から毎秒流れ出る水の量はいくらか。ただし、正方形の水面に近い1辺は水面下b(cm)のところにある。また、深さx(cm)の小孔から…

目盛りを打たれたひもをグニャッとすると、もとの目盛りと一致する点がある

タイトルだけだと分かりづらいですね。ちゃんと書きましょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 長さ1の、伸び縮みしないひもが2本あります。ひも上には0から1までの目盛りが細かく打たれています。一方を図のようにグニャッとさせ(こちらをひもBと…

無限級数の和、チェザロの和

無限級数の和についてひとつ、話しましょう。まず次の定理を証明します。 考えてみれば、何となくでよいなら当たり前です。数列がαに収束するということは、nが大きければどの項もまあほぼ α と思ってよいということ。もうほとんどαばっかりです。だからそ…

『真理とは何か』にある、整数の面白い問題

1より大きい2つの正の整数が選ばれました。あるルートから、数学者S氏はその2数の和を聞き、数学者P氏はそれらの積を知りました。2人がほかの用事で電話している間に、たまたま話題がその2つの数のこととなりました。S氏は言いました。 「僕はその2数の和を…

100!の末尾の方につく0の個数を求める

nを自然数とするとき次が成立します。 m毎にmの倍数が出てくるのだから、この公式自体は明らかでしょう。万年カレンダーの記事でもこの公式を使いました。 www.omoshiro-suugaku.com 現行の暦、グレゴリオ暦では「その西暦年号が4の倍数なら閏年、ただし100…

正項級数はどこからどう加えても和は一致するか(再訂正版)

この証明、調整中 やはりうまくいってない…… 前に書いた文章も使いながら、今回は正しい証明を示します!!! 記号は多少変えたので、前の記事をご覧になった方はご注意を。比較のために前の記事は残しておきます! を収束する正項級数とします。皆さん「明…

2項間の漸化式の特性方程式

漸化式を解きます。 これに対し、k=3k+1という方程式(特性方程式)を立て、その解を使うとうまくいく、という話が教科書に載っています。ぼくもそうでしたし、生徒は一様に と聞きます。「いや、誰も等しいとは言ってない。k=3k+1を考えるのは自由…

正項級数はどこからどう加えても和は一致するか

調整中! これでは証明になっていない……。なんとかします。 収束する、正項である数列の和を考えます。この数列を下の表のように並べ替えます。並べ方は問いません。 収束する正項級数から取り出したわけで、上に有界、単調増加だからです。 さて、皆さん「…

対数を使って3の1000乗の桁数を求められるか

少し前2の累乗の桁数を対数の近似値を使って計算する問題で、誤差が桁数にどう影響を及ぼすのか考えました。 www.omoshiro-suugaku.com www.omoshiro-suugaku.com 今回は問題としてもよくある、3の累乗について同様に考察してみます。次の問題を考えましょう…

百五減算(ひゃくごげんざん)を合同式で解く

前、こういう記事を書きました。 www.omoshiro-suugaku.com 合同式の話を少し前に書いたので、続きということでこの問題を合同式で解いてみます。まず次の定理を準備しておきます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー m、nの最小公倍数がLのとき…

スペースマウンテンは何台走っているか(2)

以前、スペースマウンテンの台数について書きました。 www.omoshiro-suugaku.com 車両がスタートし、コースを回って止まり、またスタートするまでの時間をT(秒)とし、車両が出発する時間間隔を(平均的に)d秒としたとき、ドーム内に存在する(稼働してい…

「目に見える」無理数を作る

高校1年で、実数、無理数といった話が出てきます。無理数とは「整数/整数の形に書けない数」。それでもいいですが、あるいは「循環しない無限小数」と言ってもいい。循環する無限小数は有理数になってしまいます。教科書などの問題にもあるとおり、例えば x…

1次合同方程式を解く(バシェの定理からの続き)

前、バシェの定理を証明しました。 www.omoshiro-suugaku.com ax + by = 1が整数解を持つ ⇔ (a,b)=1 というものでした。 (a,m)=1であるとしましょう。バシェの定理によればこのとき aa’+my=1となるa’、yが存在します(文字は全て整数)。こ…

対数を使って2の1000乗の桁数を求められるか(2)

前、「対数を使って2の1000乗の桁数を求められるか」というタイトルで記事を書きました。 www.omoshiro-suugaku.com 例えばこんな問題を考えます。 常用対数をとると ゆえに よって16桁ということになります。上の記事で説明したように、対数の値を近似値で…

Bachet(バシェ)の定理

Bachet(バシェ)の定理について書きます。高校ではここまで扱うことは少ないでしょう。後でこれを使って合同式の簡約公式などを示します。なお (x, y) で x, y の最大公約数を表すことにします。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー Bachetの定理 文字を…

2元1次不定方程式の解き方、2通り

2x+3y=1(x、yは整数)……① を解きましょう。特に難しいというのでもなく、教科書にも載っている普通の問題です。 まず特殊解を見つけます。つまり①を満たすx、yの具体例を見つけます。カンで分かるでしょう。x=ー1、y=1でよいですね。する…

フェルマー素数についての定理をひとつ

nは自然数です。オイラーは上の形の数は必ず素数になると信じていたとか。しかし後に が示されてしまい、予想は成立しませんでした。これに関しては、次が成立します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー の形の数(mは自然数)は、もしも素数であるとす…

合同式、7の倍数の判定法

今後のこともあるので、ここで合同式についてまとめておきましょう。あの三角形の「合同」ではありません。整数の話です。 ーーーーーーーーーーーーーー a≡b(mod m) ⇔a,bをmで割った余りが等しい ⇔a-bがmで割り切れる ーーーーーーーーーーーー…

エラトステネスのふるいは正しいのか

nは自然数であるとします。このとき次が成立します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 証明しましょう。 (1)n=ab(a,b≠1)とします。 (2)n≠1とし、n=abc……(3つ以上…

オイラーの定数とは

オイラーの定数について書きます。 上の図で、x=1からx=nまでの、x軸とy=1/xのグラフで囲まれた部分の面積は で、黄色い部分の面積(短冊n-1本の面積)は です。短冊の和の方が面積は小さいので が成立します。 同様の比較で が言え、この2つの…

ニムというゲームの必勝法

ニムというゲームがあります。コインの山をいくつか用意します。山はいくつ作ってもよいですし、それぞれの山のコインは何枚でもOKです。山ごとに違う枚数にしても大丈夫。プレーヤーは交互に好きな山から好きな枚数だけコインを取ります(ひと山全部取って…

πの値を三角関数の公式で求める

何年も前、何かの本で読みました。何の本かもう憶えておらず多分手元にありません。タイトルを思い出したら書きます。円周率を求める、ひとつの方法です。三角関数の公式をいくつか使うだけで、うまい方法だな、と思いました。 ………… こうして各コサインの値…

べき級数まとめ(2)テーラーの定理・マクローリンの定理

べき級数の第2回、テーラー展開、マクローリン展開の話です。 まずテーラーの定理(n=3の場合を書きます)。x,aを含む区間でf(x)が3回微分可能のとき、次の式を満たすcが存在します(一般にnで成立)。 ただしcは a と x の間の数です。最後の項に…

複素数の和の定義の前に和を考えてる……

近い話は前に書いたのですが、まあいいでしょう……。www.omoshiro-suugaku.com 教科書の複素数の導入はだいたい以下のような感じです。 を満たす特別の「数」i を考え、これを虚数単位と呼びます。この i を使った新しい「数」、a + bi を複素数と言うことに…