いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

数学

√2、2√2、3√2、……の小数部分について成立する、とある事実

区間[0,1]をIで表すことにします。Iに含まれるどこのどんな狭い区間にも、√2,2√2,3√2,4√2,……の小数部分のどれかが属します。これを証明しましょう。 nを自然数とし、n√2の小数部分を(n√2)’と書くことにします。この記号はこのブログのこの記事だけ…

いろいろな暦の閏年

1年は365日……ではありません。地球は太陽の周りを公転しています。だいたい365日で1周するんですが、より正確には365.2422日(近似値)なのです。これが1年、季節の1周です。実際、365日では足りないのでときどき閏年(366日の年)を入れていますよね。これ…

フーリエ変換で何ができるか

ぼくたちは音に囲まれています。この音は物理的には空気の振動が波として伝わる現象です。もう少し具体的に書きましょう。ギターを弾きます。弦は振動します。これは1秒間に何百回のスピードです。ぶるぶる震える弦の近くでは空気が瞬間的に圧縮されたり薄く…

最小2乗法で最も適切な直線を求める

何かの実験で、下の表が得られたとします。 どうやら何となく直線っぽいグラフが描けそうですが、どんな直線が一番いいと思いますか? よさそうなところに適当に描くわけにもいきません。 最適な直線を決めるためのいい方法があります。最小2乗法と言います…

バナッハ=タルスキのパラドックス

バナッハ=タルスキのパラドックスの話です。パラドックスというのは正しそうな議論をしているのに出てきた結果が何だかヘン、という話のこと。結果がヘンと言っても、今回のは証明されている事実であって、これは「バナッハ=タルスキの定理」なのです。し…

『暗号の数理』紹介

『暗号の数理』(一松信2005講談社ブルーバックス)を紹介しましょう。高校生の時に古い版を読みましたが、最近新しい版も買いました。この本は、暗号の歴史、古い暗号から現代の暗号まで、そしてP問題、NP問題、P≠NP予想など、あまり数式は使わずに興味深い…

『容疑者xの献身』、『四色問題』紹介

『容疑者Xの献身』(東野圭吾2008文春文庫)に天才的な数学の才能を持ちながら故あって高校教師をやっている石神という人物が出てきます。この石神がアパートの隣に住む片想いの相手、靖子とその娘が犯した殺人の隠蔽工作に手を貸します。やはり天才的な物理…

2元1次不定方程式の特殊解を求める、分かりやすい方法

互除法を用いて2元1次不定方程式の特殊解を求める方法、わかりにくい気がします。簡単な工夫で理解しやすくなるので、紹介しましょう。その前にまず互除法についてざっと復習しておきます。 互除法とは……例えば240と66の最大公約数(以下、最大公約数を(240…

相関係数の意味

N人の生徒がいて、数学、国語の試験の得点が だとしましょう。このとき、数学と国語の相関係数rは次で計算されるのでした。 分母は数学の標準偏差と国語の標準偏差の積。分子は数学と国語の共分散です。このr、一体何を意味しているのでしょうか。一応、…

『フェルマーの最終定理』紹介

数学の中に350年間正しいかどうか不明だった予想があります。「n≧3のとき を満たす自然数の組x,y,zは存在しない」というものです。弁護士でアマチュア数学者だったフランスのフェルマーがディオファントスのテキスト『算術』の余白に「この定理に関し…

デジタル署名とは何か

デジタル署名について書きます。いぬおさんからメールが来ました。いぬおさんのアドレスだし、メールの最後には「いぬお」と書いてあります。これはもう間違いなく差出人はいぬおさんでしょう。……しかし、メールアドレスの詐称(発信者のアドレスを書き換え…

カイ2乗検定とは何か

大学生の時、文系の女の子に卒業論文の相談を受けました。「留学生にいろいろな質問をして、日本人学生と意見が違うということをハッキリさせたい」とのこと。ある質問に対して「はい」と答えるか、「いいえ」と答えるか、調査した結果が以下の表の通りだっ…

イコライザを作る

wav(ウェーブ)ファイルというのがあります。MediaPlayerなどを使ってパソコンで再生できますよね。wavファイルは構造が決まっていて、ファイルの先頭付近に音楽データの長さや、サンプリング周波数、ステレオかモノラルかの区別のための数値などが入ってい…

画像処理の話(1)

昔のTVの画像はアナログ信号で送信されていました。そのため送信途中で何かエラーが起こっても(ノイズが入るとか)直す方法はありませんでした。今(地デジ)はデジタル信号で、ノイズが入っても、入っていない信号を再送させたりして訂正できます(コンピ…

補間法で太陽までの距離を求める

今回、「ルート2」を「√2」と書いてしまうことにします。√2 ≒ 1.41421456(一夜一夜にひとみごろ)、√3 ≒ 1.7320508(人並みにおごれや)なのでした。では√2.5は? だいたいの値でいいです。今は100均でルートキー付きの電卓が買えるし、スマホならルートキ…

確率のパラドックスをひとつ……

割合(ここでは確率)のちょっと不思議な話を書きましょう。 袋A、A’、B、B’にくじが入っています。内訳は次の通りです。袋A くじは10本。そのうち当たりは3本。当たる確率は3/10。袋B くじは60本。そのうち当たりは17本。当たる確率は17/60。袋A’ …

『図の斜線部』は必要か?

高校の数学Ⅱの領域の問題では、領域は斜線を引いて表すことになっています。そうしないと先生が「斜線を引いて『図の斜線部』と書かないとダメ」とか注意します。しかしですね……。 領域に斜線を引いたら、そこが答えに決まっていると思うんですが……。それで…

デフィーヘルマン鍵交換、『暗号技術入門 第3版』紹介

『暗号技術入門 第3版』(結城 浩2015ソフトバンククリエイティブ) を紹介します。これは面白い本でした!! 暗号技術全般について大変分かりやすく正確に解説しており、暗号に関する体系的な知識が得られます。ぼくとしては特に暗号技術における乱数の大切…

分数が有限小数で表されるための必要十分条件

用語を準備しておきます。まず、ここでは分数とは整数/整数を意味するとしておきましょう。既約分数とはもう約分できない分数のこと。例えば3/5とか、15/2などです。有限小数とは3.6901などのように、有限桁で終わる小数のこと。定理には出てきませんが、…

円周率の値の範囲を正確に求める

円周率πの範囲を調べましょう。π=3.14……だということはご存じだと思います。しかし、「証明しろ」と言われたら? これは結構難しい。実は前、東大の入試で円周率の値に関する問題が出ていたそうです。「円周率πとするとき、π>3.05 であることを示せ」とい…

スターリングの公式でn!の近似値を求める

スターリングの公式を紹介しましょう。これを使うとn!(nの階乗。例えば5!=5・4・3・2・1=24)の近似値を求めることができます。しかし、そもそもn!というのはn!なんだから「何のための近似値なんだ?」と思うかも知れません。でも「nが増えると…

GPSの仕組み

GPSの話をしましょう。GPSとは「Global Positioning System」(全地球測位システム)の略です。地球の周りを回る何個かの人工衛星から電波を受け取り、自分が今どこにいるのか調べる(測位といいます)ことができる、アレです。GPSのための人工衛星は20個以…

スカイツリーの頂上から地平線までの距離

東京スカイツリーは高さ634mです。てっぺんまで登ると地平線は何メートル先に見えるのでしょうか? 以下、特に断りがなければ単位はmです。図の円は地球で、半径をRとしています。高さhまで登ると地平線はAの所に見えます(地上の、Aより先にあるもの…

世界中の碁石が同色であることの証明!?

世界中に碁石がいくつあるかは分かりませんが、n個としておきましょう。実は、数学的帰納法を用いて「世の中の碁石n個は全て同色である」……①という事実を証明できるのです。「そんなバカな!?」と思うでしょうが、まあ見てください。数学的帰納法の証明は…

チューリングマシンとは何か

100年ほど前のことです。イギリスのアラン・チューリングという数学者が「チューリングマシン」という仮想的な機械を考えました。コンピュータどころか電卓もない時代ですが、チューリングマシンはある意味、現代のコンピュータと同じ働きをします。たまに「…

秘密を分散する

ある整数値が決められました。例えば金庫の解錠の番号だとしましょう。安全のため、長目に12桁です。この金庫はある人の所有物で、この人以外の4人にも解錠できるようにしたいと考えています。しかし4人全員が解錠の番号を知っていると、ある1人が悪い気を起…

あれ?と思った証明ふたつ

1. ある定理(ある級数の収束に関する定理)の証明の最後の方に右のような不等式が出てきました。nは自然数(1,2,3,………)です。 なぜ成立するのか特に何の説明もないですし、じゃあ簡単に示せるのか? (最悪、導関数を求めて証明できるんだろうけど)し…

石兵八陣、迷路脱出法

三国志に「石兵八陣(せきへいはちじん)」というのが出てきます。三国志というのは古い中国の魏、呉、蜀の物語。漢の終わり頃から三国時代、晋の始めまでの話です。自分の作戦ミスで呉の陸遜(りくそん)に追い詰められる前線の劉備玄徳(りゅうびげんとく)。…

数学勉強法

近いことは何回かブログで書いていますが、まあいいでしょう。少し違う書き方で……。 数学ができるようになるのにどうしたらよいか、「コツが分からない」などと言う高校生がいます。そんなもの、ないよ……。そもそもそんな都合のいいものがあるんなら誰も苦労…

高木貞治、ヒルベルト、フォン・ノイマン

高木貞治(ていじ)(1875~1960)は数学者、専門は代数学です。当時、微分学の定理であるにもかかわらず、それまでは積分学を用いて証明されていた定理がありました。高木先生はこれをよくないと考えたんでしょう、微分学の知識のみで証明することを試み、成…