いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

数学

遠心力、コリオリの力とは何か(2)

前回もそうですが、「’」(ダッシュ)付きの記号はx’y’系に乗っている人が感じる位置、速さ、加速度に付けています。気をつけましょう。さて、 なのでした。ここで、左辺はx’y’系に乗っている人が感じる加速度、右辺の第1項はx’y’系に乗っている人を…

遠心力、コリオリの力とは何か(1)

コリオリの力が物理の本に出てくるたびに「あれ? どういうやつだったっけ?」と参考書をひっくり返しているので、短くまとめておこうと思います。コリオリの力は高校の物理では出てきません。せいぜい名前くらいでしょう。「台風の何かと関係ありそうだ」く…

書籍『3次元ビジョン』紹介

『3次元ビジョン』(徐剛、辻三郎1998共立出版)を紹介します。まえがきには「画像と3次元世界との幾何関係およびそれを利用した3次元世界の復元を中心に記述したものである」とあります。目次は以下の通り。 1章 序論2章 画像、カメラと射影3章 特徴抽出4章…

ラグランジュの未定乗数法(2)幾何学的に仕組みを解説

ラグランジュの未定乗数法の第2回です。第1回は大分前、手順だけを説明しました。今回は理屈を解説します。条件 g(x, y) = 0 のもとで、z=f(x, y) の極値を求めます。図の細い線(f(x, y) = C1 など)は z = f(x, y) の等高線です。例えば f(x, y) = C1 は…

RSA暗号とは何か(2)

RAS暗号とは何か(1)の続きです。RSA暗号の原理を説明します。なお、以下の説明で出てくる [a,b] はa,bの最小公倍数、(a,b)はa,bの最大公約数を表します。 ここまでで暗号化できました。平文mから暗号文cを作ったのです。次に復号化です。…

内積とは何か?

内積とは何でしょうか。高校では a・b=|a||b|cosθ で2本のベクトルの内積を定義します(θは2本のベクトルのなす角。ここではベクトルを高校流の矢印付きの文字でなく、太字で表しています)。テキストにはそう書いてあるだけですから、先生も「これを内…

「共役複素数」は「きょうやくふくそすう」か「きょうえきふくそすう」か?

皆さんは「共役複素数」の「共役」をどう読みますか? 「きょうやく」か「きょうえき」か。前、近くの人に聞いたら結構「きょうえき」の割合が多かったような……。まあどっち道conjugateの訳ですし、数学の用語なのですから意味が正確に伝わればよいのだとは…

RSA暗号とは何か(1)

何回かでRSA暗号の原理を解説します。RSA暗号の歴史は結構古く、1977年に数学者リベスト、シャミア、エーデルマンによって発表されました。頭文字を取って「RSA暗号」と呼ばれます。原理は高校数学の範囲は少し超えるくらいで、単純と言えます。しかし暗…

ノイズの混ざったデータから周波数成分を見つける

もう少しFFTで遊んでみましょう。使う言語は例によってPython です。今回はノイズの混ざったデータから周波数成分を求めます。元のデータは一見グチャグチャなのですが、FFTで正しい周波数成分が分かります。こういうのを見るとFFT(あるいは数学)は凄いな…

数学バイパス『微分のひ・み・つ』、『積分のい・ず・み』紹介

微分、積分の面白い本を紹介しましょう。『微分のひ・み・つ』、『積分のい・ず・み』(黒田俊郎1977三省堂数学バイパス)です。中学2,3年にでもなればもう分かるように書かれた高校数学の本です。「中学生にも分かる」からと言って、決してレベルが低いわ…

階差数列からもとの数列を求める公式で「n=1のときは不成立」の例

数列{}の階差数列{}からもとの数列{}を求めます。公式がありました。 というものです。これを用いれば のとき、もとの数列は以下のように求められます(n≧2)。 これはn=1でも成立します。ところで……n=1では成立しない例はあるのでしょうか? 教科書などで…

グラフが下に凸であることを利用した、不等式の証明(2)

前回の続きです。関数y=f(x)のグラフは下に凸であると仮定しましょう。このとき、前回の話によると が成立するのでした。証明は3角形の重心を使ったものだったのですが、別の示し方もあります。まず、 p,q≧0 かつ p+q=1 のとき f(pa+qb) ≦ pf…

グラフが下に凸であることを利用した、不等式の証明

以前、こんな記事を書きました。 ノットイコールの書き方を注意された - いぬおさんのおもしろ数学実験室 その中でこういう問題に触れました。 右側の不等号が成立することは下の図から明らかです。一般に、下に凸のグラフがあれば が成立するのです。 変数…

2元1次連立方程式の加減法は「解きっぱなし」でよいのか

2元1次連立方程式を考えます。ax + by = c, dx + ey = f というやつです。それぞれを①、②として、「①+②×4より……」などとやって変数を消去するのでした。数学の議論は「AならばB,BならばC,……」と繰り返して進むことが多いですよね。方程式を変形しながら解…

pythonでリアルタイムに動くグラフを描く

Pythonのmatplotlibでグラフを描画するのは便利で易しいのですが、普通にshow()で描画するとそこでいったん止まってしまいます。時間を追って変化するグラフは描けません。調べるとpause()というのがあるようで、試してみました。plt.show(0.1)の行です。描…

とある大学入試問題の続き

111……10……0(a桁の数。0はb桁あるとする)が2019で割り切れるようにa,bを定めてください。これはとある大学入試問題の言わば続きで、もとは「割り切れるようなa,bが存在することを示せ」みたいな問題だったと思います。これを見て、同僚が「実際のa…

『パラドックスの世界』紹介

少し前にブログで3冊のうちの1冊として紹介しましたが、今回やや詳しく解説します。『パラドックスの世界』(田村三郎1981講談社ブルーバックス)です。 www.omoshiro-suugaku.com 婚約者を悲惨な事故で失った地球の技術者、失意の三田(みた)さんが銀河系…

PythonでscipyのFFT、IFFTを使った分かりやすい例(2)

前回、FFTの例をお見せしました。さらに理解を確実なものにするため、もう少し別のパラメータで確認してみましょう。タイトルは「FFTとIFFT」となっていますが、今回はFFTのみで説明します。コードは以下の通りとします。 import numpy as npimport scipy as…

PythonでscipyのFFT、IFFTを使った分かりやすい例

一部書き換え(グラフを含む)ました(2020.1.4)。 備忘録も兼ね、とにかく分かりやすい例を挙げます。説明も十分にしますので、少し前に書いた記事を参照しながらお読みください。 www.omoshiro-suugaku.com N=100点のサンプリングデータを相手にするとし…

ベイズの定理を使いやすく! ちょっと不思議な事実も紹介。

ベイズの定理を使う問題を見てみましょう。 問1 袋Aには赤球3個、白球2個、袋Bには赤球2個、白球4個が入っている。AからBへ目をつぶって球を1個移した。(1)Bから1個取り出すとき、赤球が出る確率を確率を求めなさい。(2)Bから1個取り出したところ、それ…

角の3等分問題を解説(4)(3等分問題の最終回)

第4回、最終回です。前、こういう記事を書きました。これを使います。www.omoshiro-suugaku.com この記事によると、3次方程式 の解を作図できるかできないかで20°の角を作図できるかできないかが決まります。★の解をβとしましょう。拡大Q(β)/Qの拡大次数…

角の3等分問題を解説(3)

QからQ(√2)を作りました。√2を付け加えて新しい大きな体を作ったので、これを体の拡大と言い、Q(√2)/Q と書くのでした。また、Q(√2)に√3を添加するとQ(√2,√3)になりますが、このQ(√2,√3)/Q(√2)も体の拡大です。ここで拡大次数について説明しま…

角の3等分問題を解説(2)

作図の際には定規とコンパスを使う、というルールがあるのでした。ところで定規とコンパス以外の器具を使うとどうなのでしょうか。例えば、トマホークで角を3等分できます。図で太線の部分がトマホークです。 構造から、∠AOEを3等分した角は∠COEとなり…

角の3等分問題を解説(1)

少し前、ブログで古代ギリシャの三大作図問題について書きました。その中の、角の3等分問題について何回かに分けて説明してみましょう。過去の記事はこれです。↓ www.omoshiro-suugaku.comwww.omoshiro-suugaku.com 紀元前5,6世紀頃からギリシャの幾何学者…

「1/2と2/4は『同値』」なのか?

高校の先生が、採点の時など「正解は1/2だけど、2/4とか3/6とか、同値な分数もマルにしましょう」とか言うことがあります。……こういう「同値」の使い方はいけません。文脈からして彼らは「1/2と2/4は値が同じである。つまり同値である」と思っているの…

FFT(高速フーリエ変換)の実験、パラメータなどの解釈(2)

続きです。グラフの縦軸の目盛りに関しては別の機会に説明するとして、今回は特に横軸の目盛りの読み方について。まずは基本的な事実を確認しておきます。みなさん分かりきっているからなのか、あまりこういう形にまとめられた資料を見ることがありません。…

FFT(高速フーリエ変換)の実験、パラメータなどの解釈(1)

少し前、このブログでフーリエ変換について書きました。 www.omoshiro-suugaku.com 量が多くなりますので何回かに分けますが、実際にFFTのコードを書くにはどうしたらいいのか、出てきた結果をどう解釈したらいいのか、など具体的に書いてみます。備忘録を兼…

√2、2√2、3√2、……の小数部分について成立する、とある事実

区間[0,1]をIで表すことにします。Iに含まれるどこのどんな狭い区間にも、√2,2√2,3√2,4√2,……の小数部分のどれかが属します。これを証明しましょう。 nを自然数とし、n√2の小数部分を(n√2)’と書くことにします。この記号はこのブログのこの記事だけ…

古代ギリシャの3大作図問題

古代ギリシャの「3大作図問題」というのがあります。それぞれを簡単に説明してみます。どれも使える道具は定規とコンパスだけです。------------------------①任意に与えられた円と同じ面積の正方形を作図せよ(円積問題)半径1の円…

いろいろな暦の閏年

1年は365日……ではありません。地球は太陽の周りを公転しています。だいたい365日で1周するんですが、より正確には365.2422日(近似値)なのです。これが1年、季節の1周です。実際、365日では足りないのでときどき閏年(366日の年)を入れていますよね。これ…