倒叙もののドラマ、刑事コロンボ - いぬおさんのおもしろ数学実験室
に「殺しの序曲」という回があります。中でパズルが出てきました。シグマ協会という団体があります。この団体への入会資格はただひとつ、知能テストの成績が世界の上位2%に入ること。ここで殺人事件が起こり、その犯人がコロンボに出題します。「金貨の入った袋が10個ある。どの袋にも50枚ずつの金貨が入っているが、あるひとつの袋だけはすべて偽の金貨である(50枚すべてが偽金貨)。本物の金貨は1枚100g、偽の金貨は1枚110gである。このとき、台秤を1回だけ使って偽の金貨入りの袋を特定せよ」という問題です。台秤ですから、袋を乗せると重さが表示されます。体重計みたいなものですね。たまたま偽の袋を選んで乗せれば110g×50=5500gで、「これが偽金貨の袋だ!」と分かりますが、本物入りの袋を選んでしまうと5000g、「本物だったか……」で終わり。どうしますか? 袋から金貨を出してもOKです。コロンボは考えた末、「1つ目の袋からは1枚、2つ目の袋からは2枚、……と金貨を取り出し、合計55枚(1+2+…+10=55)の重さを量る。重さが例えば5580gだったら8番目の袋が偽金貨の袋」という答えを出します。全部本物だったら5500gになるはずで、8個目の袋が偽だったら80g重くなるわけです。なるほど、うまい。
ではもう一段階難しい問題を。今度は袋の数は6個。そのうち、偽金貨の袋が何個あるか分からない。このときやはり台秤を1回だけ使って、偽の袋を特定してください。偽金貨入りの袋が3個かも知れないし、5個かも知れないわけです。それぞれの袋から何枚かずつ取り出して1回だけ重さを測り、どれとどれが偽の袋か判断する、ということです。ここでしばらく考えてください…… 。
実は「どんな自然数も1,2,4,8,16,32,……(2の累乗)の和でひと通りに表せる」という事実があるのです。これを利用します。1つめの袋、2つめの袋、……からそれぞれ1枚、2枚、4枚、8枚、16枚、32枚を取り出せばよいのです。例えば1,3,4番目の袋が偽金貨入りなら、10+40+80=130g重くなります。13を2の累乗の和で表す方法は1通りですから(13=1+2+8)、「130グラム重い」と分かればどの袋が偽なのか分かります。
殺しの序曲―刑事コロンボ (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
- 作者: W.リンク,R.レビンソン,William Link,Richard Levinson,円谷夏樹
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2000/04/01
- メディア: 文庫
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『刑事コロンボ』は倒叙もの(犯人が最初から分かっている)の刑事ドラマで、物語の中心は犯人と、犯人を追い詰めるコロンボのやりとりです。「殺しの序曲」も面白い回でした!