いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

『100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影』紹介

『100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影』 (春日真人2011新潮文庫) を紹介します。100年にわたる天才数学者たちの攻撃にもビクともしなかったポアンカレ予想が2003年、ロシアの数学者ペレルマンによって解決されました。この本はポアンカレ予想の…

『新・地震の話』(坪井 忠二1967岩波新書)紹介、マグニチュードに限界はあるのか?

『新・地震の話』(坪井 忠二1967岩波新書)を昔、読みました。大学の講義で面白い話があり、そこで紹介されていたのです。地震のマグニチュード(規模)の最大値は9くらいだそうです。確かに、「マグニチュード28」とかは聞いたことがありません。なぜなので…

遠心力、コリオリの力とは何か(1)

コリオリの力が物理の本に出てくるたびに「あれ? どういうやつだったっけ?」と参考書をひっくり返しているので、短くまとめておこうと思います。コリオリの力は高校の物理では出てきません。せいぜい名前くらいでしょう。「台風の何かと関係ありそうだ」く…

『親切な物理』、『大学編入試験問題 数学/徹底演習』紹介

ぼくは高校生のとき、数学よりも物理の方が得意でした。使っていた参考書は『親切な物理』(渡辺久夫2003復刊ドットコム)。当時の表紙のものはもうないし、写真は今買えるものです。著者は亡くなっていていったん絶版になりましたが、復刊ドットコム(会社…

『引き抜き屋(2)』紹介、読書のすすめ

1冊目に続き、『引き抜き屋(2)鹿子小穂の帰還』(雫井脩介2019PHP文芸文庫)を読みました。 引き抜き屋(2) 鹿子小穂の帰還 (PHP文芸文庫) 作者:雫井 脩介 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2019/11/09 メディア: 文庫 いやー、面白かったです。(1)も(2…

RSA暗号とは何か(1)

何回かでRSA暗号の原理を解説します。RSA暗号の歴史は結構古く、1977年に数学者リベスト、シャミア、エーデルマンによって発表されました。頭文字を取って「RSA暗号」と呼ばれます。原理は高校数学の範囲は少し超えるくらいで、単純と言えます。しかし暗…

ノイズの混ざったデータから周波数成分を見つける

もう少しFFTで遊んでみましょう。使う言語は例によってPython です。今回はノイズの混ざったデータから周波数成分を求めます。元のデータは一見グチャグチャなのですが、FFTで正しい周波数成分が分かります。こういうのを見るとFFT(あるいは数学)は凄いな…

『文豪たちの怪しい宴』紹介

『文豪たちの怪しい宴』(鯨統一郎2019創元推理文庫)を紹介します。正月休みで少し余裕ができたので、文庫本を3冊ばかり買ってきました。同じ著者の『邪馬台国はどこですか?』も面白かったけれどこちらもよかったです。 www.omoshiro-suugaku.com 前は歴史…

数学バイパス『微分のひ・み・つ』、『積分のい・ず・み』紹介

微分、積分の面白い本を紹介しましょう。『微分のひ・み・つ』、『積分のい・ず・み』(黒田俊郎1977三省堂数学バイパス)です。中学2,3年にでもなればもう分かるように書かれた高校数学の本です。「中学生にも分かる」からと言って、決してレベルが低いわ…

waveファイルの作り方を分かりやすく解説

waveファイルを作ってみました。必要なパラメータをそろえ、サウンドデータをこしらえて保存すればOKです。作曲などはできませんので、10秒間、単純に左右で異なる高さの音が鳴るだけのものにしておきます。単純な方が原理は分かりやすいので、ちょうどよい…

『パラドックスの世界』紹介

少し前にブログで3冊のうちの1冊として紹介しましたが、今回やや詳しく解説します。『パラドックスの世界』(田村三郎1981講談社ブルーバックス)です。 www.omoshiro-suugaku.com 婚約者を悲惨な事故で失った地球の技術者、失意の三田(みた)さんが銀河系…

『引き抜き屋(1)』紹介

『引き抜き屋(1)鹿子小穂の冒険』(雫井脩介2019PHP文芸文庫)を紹介しましょう。引き抜き屋とはヘッドハンターのことです。キャンプ用品、アウトドアウェアなどを開発、販売する「フォーン」は創業以来の30年で売り上げ140億の会社に成長しました。社長の…

徒然なるままに読書の話を

たまには……徒然なるままに、読書について語りましょう。趣味はいくつかあるのですが、ひとつは読書です。特に理系っぽい新書が多いです。文庫も多く、東野圭吾氏のものは割とよく読みます。その他ミステリー、エッセイ、ジャンルはいろいろですが、読んでい…

『「世界征服」は可能か』紹介

『「世界征服」は可能か』(岡田斗司夫2007ちくまプリマ-新書)を読みました。著者の岡田氏はかつて「ガイナックス」というアニメ製作会社を立ち上げ、ヒット作も生み出した、その世界の一流のプロです。「レコーディングダイエット」の考案者でもあります…

FFT(高速フーリエ変換)の実験、パラメータなどの解釈(1)

少し前、このブログでフーリエ変換について書きました。 www.omoshiro-suugaku.com 量が多くなりますので何回かに分けますが、実際にFFTのコードを書くにはどうしたらいいのか、出てきた結果をどう解釈したらいいのか、など具体的に書いてみます。備忘録を兼…

いろいろな暦の閏年

1年は365日……ではありません。地球は太陽の周りを公転しています。だいたい365日で1周するんですが、より正確には365.2422日(近似値)なのです。これが1年、季節の1周です。実際、365日では足りないのでときどき閏年(366日の年)を入れていますよね。これ…

フーリエ変換で何ができるか

ぼくたちは音に囲まれています。この音は物理的には空気の振動が波として伝わる現象です。もう少し具体的に書きましょう。ギターを弾きます。弦は振動します。これは1秒間に何百回のスピードです。ぶるぶる震える弦の近くでは空気が瞬間的に圧縮されたり薄く…

面白かった本、3冊

ぼくが高校生のときに読み、大きな影響を受けた本を紹介します。 ●逆説論理学(野崎昭弘1980中公新書) 高校生の時読みました。パラドックスが満載です。パラドックスとは、正しそうな理屈で議論しているんだけれど出てきた結果がヘン、といった話です。「電…

バナッハ=タルスキのパラドックス

バナッハ=タルスキのパラドックスの話です。パラドックスというのは正しそうな議論をしているのに出てきた結果が何だかヘン、という話のこと。結果がヘンと言っても、今回のは証明されている事実であって、これは「バナッハ=タルスキの定理」なのです。し…

邪馬台国

邪馬台国について書きます。邪馬台国は3世紀頃日本にあり、卑弥呼(ひみこ)という女王が治めていたと言われています。中国の『三国志』という歴史書の中の『魏志倭人伝』(ぎしわじんでん)(正しくは『魏志』30巻のうちの『東夷伝』(とういでん)の中の…

『暗号の数理』紹介

『暗号の数理』(一松信2005講談社ブルーバックス)を紹介しましょう。高校生の時に古い版を読みましたが、最近新しい版も買いました。この本は、暗号の歴史、古い暗号から現代の暗号まで、そしてP問題、NP問題、P≠NP予想など、あまり数式は使わずに興味深い…

『天文の計算教室』紹介

今(現時刻)でも宇宙の構造は決まっていて、宇宙の果て(?)では何かが起こっていているはずです。しかしぼくたちはそういったことについて、よく理解しているとは到底言えません。宇宙で何が起こっているのか、宇宙はどういう構造なのか、宇宙はどういう…

『容疑者xの献身』、『四色問題』紹介

『容疑者Xの献身』(東野圭吾2008文春文庫)に天才的な数学の才能を持ちながら故あって高校教師をやっている石神という人物が出てきます。この石神がアパートの隣に住む片想いの相手、靖子とその娘が犯した殺人の隠蔽工作に手を貸します。やはり天才的な物理…

『フェルマーの最終定理』紹介

数学の中に350年間正しいかどうか不明だった予想があります。「n≧3のとき を満たす自然数の組x,y,zは存在しない」というものです。弁護士でアマチュア数学者だったフランスのフェルマーがディオファントスのテキスト『算術』の余白に「この定理に関し…

デジタル署名とは何か

デジタル署名について書きます。いぬおさんからメールが来ました。いぬおさんのアドレスだし、メールの最後には「いぬお」と書いてあります。これはもう間違いなく差出人はいぬおさんでしょう。……しかし、メールアドレスの詐称(発信者のアドレスを書き換え…

カイ2乗検定とは何か

大学生の時、文系の女の子に卒業論文の相談を受けました。「留学生にいろいろな質問をして、日本人学生と意見が違うということをハッキリさせたい」とのこと。ある質問に対して「はい」と答えるか、「いいえ」と答えるか、調査した結果が以下の表の通りだっ…

イコライザを作る

wav(ウェーブ)ファイルというのがあります。MediaPlayerなどを使ってパソコンで再生できますよね。wavファイルは構造が決まっていて、ファイルの先頭付近に音楽データの長さや、サンプリング周波数、ステレオかモノラルかの区別のための数値などが入ってい…

補間法で太陽までの距離を求める

今回、「ルート2」を「√2」と書いてしまうことにします。√2 ≒ 1.41421456(一夜一夜にひとみごろ)、√3 ≒ 1.7320508(人並みにおごれや)なのでした。では√2.5は? だいたいの値でいいです。今は100均でルートキー付きの電卓が買えるし、スマホならルートキ…

デフィーヘルマン鍵交換、『暗号技術入門 第3版』紹介

『暗号技術入門 第3版』(結城 浩2015ソフトバンククリエイティブ) を紹介します。これは面白い本でした!! 暗号技術全般について大変分かりやすく正確に解説しており、暗号に関する体系的な知識が得られます。ぼくとしては特に暗号技術における乱数の大切…

世界中の碁石が同色であることの証明!?

世界中に碁石がいくつあるかは分かりませんが、n個としておきましょう。実は、数学的帰納法を用いて「世の中の碁石n個は全て同色である」……①という事実を証明できるのです。「そんなバカな!?」と思うでしょうが、まあ見てください。数学的帰納法の証明は…