微分法を使った、解の近似値を求める方法を説明します。ニュートン法と言います。ここではの正の解を求めてみましょう。これはつまり、を求めることになります。
まずy=-3のグラフ上の、x=pでの接線の方程式を求めます。
y’=2xですから、公式(教科書に載っている)からx=pでの接線は
y-(-3)=2p(x-p)となります(傾きは2pで、(p,-3)を通るから)。これとx軸の交点のx座標をqとすると、x=q、y=0を代入して
-(-3)=2p(q-p)。これよりqを求め、
q = (1/2)(p + 3/p) ……★
を得ます。図の点Aはx座標がですから、pよりqの方がに近いですよね。もう1回、今度はグラフ上のx=qの点で接線を引いて、接線とx軸の交点のx座標を求めればさらにに近づきます。★は、あるx座標から、そこで引いた接線とx軸の交点を求める、言わば公式なのです。つまり★をもう1回使えばqをもとにしてrを求められます。r=(1/2)(q+3/q)とやるのです。これを繰り返しましょう。しかし次々に計算されるx座標にいちいち変数をp、q、r、…などと割り当てるわけにはいかないですから,,,……というように数列だと考えます。
電卓で順に計算してみます。
=2とすると(適当に決めた)
=(1/2)(2+3/2)=1.75
=(1/2)(+3/)=(1/2)(1.75+3/1.75)=1.732142857
=(1/2)(+3/)=(1/2)(1.732142857+3/1.732142857)=1.73205081
実際の値は=1.732050808……なので、たったこれだけの計算でかなりよい近似値が得られたことになります。図でも,,,…と、急速にに近づくことが分かると思います。
また★の「3」の部分を5に変えればが求まるし、最初の方程式を
などと置き換えてもxは求められます。数学や物理などで出てくる方程式にはまず解の公式なんかありません。そもそも解の公式のある方程式など、ほんのわずかなのです。しかしこうして数値計算で解に近い値は得られるわけです。微分法を使わない、2分法というのもあります。解が存在する区間を半分に狭めてゆく方法で、これも効率よく数値計算で解を求める方法です。
★はぼくはやはり高校生の時に知りました。ルートキーがなくてもルートが求められるんだ!と感動したことを憶えています。