いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

数学勉強法

 近いことは何回かブログで書いていますが、まあいいでしょう。少し違う書き方で……。

 数学ができるようになるのにどうしたらよいか、「コツが分からない」などと言う高校生がいます。そんなもの、ないよ……。そもそもそんな都合のいいものがあるんなら誰も苦労はしません。それに大変だからこそ価値もあるんでしょう……。将棋の永世竜王渡辺明氏は「質が変化する前には量の積み重ねが必ずある」と言っています。共感できます。必死で勉強していても、それが必ずしも直接の実力アップにつながってはいない、ムダだ、ってこともあるのです。彼は、しかしそのムダはある意味ムダではない、と主張しています。考えてみれば何だってそう。ギターを弾き始めた頃には体中に力が入っていて、少し練習しただけで肩が凝ってクタクタになってしまいますが、数ヶ月もやっているうちに力も抜けてフォームもきれいになります。そしてその頃には「あのときのああいう練習は、こうした方がよかった」とか分かるようになります。それは単なる「こうすればよい」という知識ではない、「これだよ、これ」という感覚が身についたことなのです。そうなったらもう好きに練習していい。「これが正しい練習だ」という感覚を理解しているからです。そうして得た感覚が「コツ」なのです。「コツが分からない」、「自分は要領が悪い」、……調子のいいことを言ってないで、まずは勉強すべし。どのくらいかかるか分かりませんが、何がコツなのか、要領なのか、理解できるようになるでしょう。

 それでもあんまり試験で点を取れないと面白くありませんよね。点を取れるから面白い、問題が解けるから面白い、ゲームみたいで面白い、………。それがある意味自然なのかも。しかし高校生になったら、そろそろそういうのから卒業した方がいいでしょう。ぼくは「××先生の授業、みんなで競争してゲームみたいにがんばって面白かった」という話を生徒から聞いたことがあります。でも「数学の面白さって、そこじゃないよな……」と思いますし、生徒にもそう言っておきました。不思議な現象を理詰めで考えて理解できる、説明できる数学を始めとする自然科学の面白さはそこにあるのです。その本質を外してしまっては仕方ないでしょう。教える側も、教わる側も、です。「3年生で受験も近い、そんな暢気なことに関わっている暇はない」という声も聞こえてきそうです。違うでしょ。関係ありません。いつもそういうつもりで数学とつきあうのです。当たり前のことです。