いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

無限ホテルのパラドックス

数学者ヒルベルトが考えた面白い話です。本来「パラドックス」とは「正しい仮定から正しい推論をしているのに、出てきた結果がおかしい」というものですが、その意味では今回紹介する話はパラドックスではありません。「直感に反している」ぐらいの意味です…

英語も勉強します……

コロナ騒ぎでじっとしていなければならなくなりました。この先どうなるのか不安はありますが、勉強はしておかないと。ここのところ、何回か書いている「何枚かの写真から立体を再現する」のためにテキストを読んでいますが、その中に「××については参考文献○…

少ない無限、もっと多い無限、さらに多い無限、……

数学では「無限」をたくさん扱います。自然数(1,2,3,…)は無限個あります。整数(0,±1,±2,…)も、有理数(整数/整数の形の数)も、実数(√2、πなども含む。虚数単位iのついてない数のこと)も無限個あります。しかし、同じ「無限個」の中に…

『新数学対話<1>行列式』紹介

大学の授業で線形代数が始まるとすぐ、行列式の一般的な定義が出てきます。場合によっては2次の正方行列なら高校で触れているかも知れません。 このとき、Aの行列式とは|A|=ad-bc なのでした。a,b,c,d を係数に持つ連立方程式を解くとき、この値が0かど…

科学史のすすめ

今、コロナで大変な時期ですが、家に引っ込んでいる間に勉強するつもりです。1600年代にヨーロッパでペストが大流行したとき、ニュートンは難を逃れるため故郷のウールスソープに戻って過ごしました。「創造的休暇」と呼ばれ、その間に万有引力の理論などを…

『ドイルとホームズを「探偵」する』紹介

推理小説は好きですが、考えてみるとホームズはあんまり読んでいません。読んだのは……『踊る人形』だけか?? これは暗号が出てきて、ホームズが暗号を解く過程が詳しく書いてあります。面白かった! TVのシリーズは人形劇を含め結構見ていますが『踊る人…

大工さんの曲尺(かねじゃく)

大工さんが使う道具に曲尺(かねじゃく)というのがあります。直角に曲がった物差しです。名前は知らなくても家を建てている現場で見たとがあるかも知れません。表には普通の目盛り、裏面はその√2倍(≒1.41倍)の間隔の目盛りがついています。例えば、裏面の目…

國分康孝先生の本

故・國分康孝先生は心理学者、カウンセラーです。専門書、一般向けの著書がたくさんあります。ぼくは職業柄、カウンセリングにも興味を持っていた時期があり、國分先生の本もずいぶん読みました。どれも主張がはっきりしていて論理が明晰、分かりやすいとい…

『麻酔の科学』紹介

手術を支える麻酔、そして麻酔科医について、麻酔科医が楽しく書いた本です。TVでもコミックスでも、外科医が手術をするとき、大抵は麻酔科医については触れることすらありません。しかし、この本を読むととんでもない、麻酔科医がいかに大事な仕事をしてい…

読書について、少し

読書についてつれづれなるままに。 ここ数日、本屋さんの前で買おうか、買うまいか逡巡しています。 オペラで楽しむヨーロッパ史 (936) (平凡社新書) 作者:浩子, 加藤 発売日: 2020/03/16 メディア: 新書 学生時代に歴史をあまり真面目に勉強しておらず、基…

『「ハッピーな部活」のつくり方』紹介

最近は中学、高校での部活のあり方について議論されるようになってきています。先生たちは必ずしも経験のある部活の顧問になれるわけではありません。卓球部に卓球の経験が全くない教員が配置されることだってたくさんあります。それは仕方ないとしても、例…

新書『すごいインド』紹介

たいへん面白い本でした。著者はインド出身、インド最高のIIT(インド工科大学)を出て活躍している人です。文体は穏やかで分かりやすくて、いかにも賢そうな感じ。いかに日本が恵まれているか、いかにインドが厳しい環境か、いかにインドのエリートたち…

理系向けお勧め図書!

高校時代から最近のものまで、ぼくが強い影響を受けた本の一部を紹介しましょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・πの話 (岩波現代文庫) ・数学の考え方 (講談社現代新書)・天才の栄光と挫折―数学者列伝 (文春文庫) ・すばらしい数学者たち 改版 (…

テキスト『数学での証明法』紹介

大学の理系の学部に入るとすぐに微積分の授業が始まります。大学、学部によると思いますが、微積分の中で割と早い時期に「ε-δ論法」(イプシロン-デルタ論法)というのが出てきます。高校では (xを3に限りなく近づけると2x-1は5に限りなく近づく)は当た…

テキスト『重積分』紹介

『重積分』(中沢貞治1976共立出版数学ワンポイント)を紹介します。本のタイトル通り、重積分について解説してあります。重積分とは変数が2個、3個、……の積分です。最近では分かりやすいテキストもたくさんありますが、この本は奇をてらうこともなく、理論…

『ニセ科学を10倍楽しむ本』紹介

『ニセ科学を10倍楽しむ本』(山本弘2015筑摩書房)を紹介しましょう。数学、理科が得意な中学生、夕帆が小説家のお父さん、そして家族とともにニセ科学について考えます。お父さんは自然科学に関してはよく調べており、正確な知識を持っている印象。世の中…

『アラビアンナイト』、『図説 アラビアンナイト』紹介

『アラビアンナイト』(西尾哲夫2013NHK出版)の紹介です。 『アラビアンナイト』 2013年11月 (100分 de 名著) 作者: 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: 2013/10/25 メディア: ムック 『アラビアンナイト』、またの名を『千一夜物語』。日本では『千夜一夜物…

『100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影』紹介

『100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影』 (春日真人2011新潮文庫) を紹介します。100年にわたる天才数学者たちの攻撃にもビクともしなかったポアンカレ予想が2003年、ロシアの数学者ペレルマンによって解決されました。この本はポアンカレ予想の…

『新・地震の話』(坪井 忠二1967岩波新書)紹介、マグニチュードに限界はあるのか?

『新・地震の話』(坪井 忠二1967岩波新書)を昔、読みました。大学の講義で面白い話があり、そこで紹介されていたのです。地震のマグニチュード(規模)の最大値は9くらいだそうです。確かに、「マグニチュード28」とかは聞いたことがありません。なぜなので…

遠心力、コリオリの力とは何か(1)

コリオリの力が物理の本に出てくるたびに「あれ? どういうやつだったっけ?」と参考書をひっくり返しているので、短くまとめておこうと思います。コリオリの力は高校の物理では出てきません。せいぜい名前くらいでしょう。「台風の何かと関係ありそうだ」く…

『親切な物理』、『大学編入試験問題 数学/徹底演習』紹介

ぼくは高校生のとき、数学よりも物理の方が得意でした。使っていた参考書は『親切な物理』(渡辺久夫2003復刊ドットコム)。当時の表紙のものはもうないし、写真は今買えるものです。著者は亡くなっていていったん絶版になりましたが、復刊ドットコム(会社…

『引き抜き屋(2)』紹介、読書のすすめ

1冊目に続き、『引き抜き屋(2)鹿子小穂の帰還』(雫井脩介2019PHP文芸文庫)を読みました。 引き抜き屋(2) 鹿子小穂の帰還 (PHP文芸文庫) 作者:雫井 脩介 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2019/11/09 メディア: 文庫 いやー、面白かったです。(1)も(2…

RSA暗号とは何か(1)

何回かでRSA暗号の原理を解説します。RSA暗号の歴史は結構古く、1977年に数学者リベスト、シャミア、エーデルマンによって発表されました。頭文字を取って「RSA暗号」と呼ばれます。原理は高校数学の範囲は少し超えるくらいで、単純と言えます。しかし暗…

ノイズの混ざったデータから周波数成分を見つける

この記事に直接関連した内容の書籍をブログ管理人が出版しました。記事をリファインして、極力詳しく解説しています。見ていただけるとうれしいです(2022年5月15日(日))。↓Python基本サウンドプログラミング~周波数分析,高速フーリエ変換(FFT)入門~作者…

『文豪たちの怪しい宴』紹介

『文豪たちの怪しい宴』(鯨統一郎2019創元推理文庫)を紹介します。正月休みで少し余裕ができたので、文庫本を3冊ばかり買ってきました。同じ著者の『邪馬台国はどこですか?』も面白かったけれどこちらもよかったです。 www.omoshiro-suugaku.com 前は歴史…

数学バイパス『微分のひ・み・つ』、『積分のい・ず・み』紹介

微分、積分の面白い本を紹介しましょう。『微分のひ・み・つ』、『積分のい・ず・み』(黒田俊郎1977三省堂数学バイパス)です。中学2,3年にでもなればもう分かるように書かれた高校数学の本です。「中学生にも分かる」からと言って、決してレベルが低いわ…

waveファイルの作り方を分かりやすく解説

この記事に直接関連した内容の書籍をブログ管理人が出版しました。記事をリファインして、極力詳しく解説しています。見ていただけるとうれしいです(2022年5月15日(日))。↓Python基本サウンドプログラミング~周波数分析,高速フーリエ変換(FFT)入門~作者…

『パラドックスの世界』紹介

少し前にブログで3冊のうちの1冊として紹介しましたが、今回やや詳しく解説します。『パラドックスの世界』(田村三郎1981講談社ブルーバックス)です。 www.omoshiro-suugaku.com 婚約者を悲惨な事故で失った地球の技術者、失意の三田(みた)さんが銀河系…

『引き抜き屋(1)』紹介

『引き抜き屋(1)鹿子小穂の冒険』(雫井脩介2019PHP文芸文庫)を紹介しましょう。引き抜き屋とはヘッドハンターのことです。キャンプ用品、アウトドアウェアなどを開発、販売する「フォーン」は創業以来の30年で売り上げ140億の会社に成長しました。社長の…

徒然なるままに読書の話を

たまには……徒然なるままに、読書について語りましょう。趣味はいくつかあるのですが、ひとつは読書です。特に理系っぽい新書が多いです。文庫も多く、東野圭吾氏のものは割とよく読みます。その他ミステリー、エッセイ、ジャンルはいろいろですが、読んでい…