『100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影』 (春日真人2011新潮文庫) を紹介します。100年にわたる天才数学者たちの攻撃にもビクともしなかったポアンカレ予想が2003年、ロシアの数学者ペレルマンによって解決されました。この本はポアンカレ予想の誕生からペレルマンによる解決までを楽しく興味深く書いています。数式も少しだけ出てきますが、数学が苦手でも大丈夫。ペレルマンの天才ぶりがよく描かれていますが、ぼくが特に凄いと思ったのはたくさんの天才数学者たちが色々なアプローチで解こうとするのになかなかうまくいかず、悩んだり精神を病んだりする、そういう場面の描写です。数学者なら数学のことは何でも分かっていて、どんな問題でも解けて、……なんて簡単なものではありません。平たく表現すると、賢い人たちには賢い人の悩みがあるんだ、ということです。中でもギリシャの数学者、パパキリアコプーロスについて書かれている部分が特に。
『フェルマーの最終定理』もよかったけれど、こちらも素晴らしかったです。おすすめできます。