『ニセ科学を10倍楽しむ本』(山本弘2015筑摩書房)を紹介しましょう。数学、理科が得意な中学生、夕帆が小説家のお父さん、そして家族とともにニセ科学について考えます。お父さんは自然科学に関してはよく調べており、正確な知識を持っている印象。世の中にあふれる様々な科学っぽいがインチキな議論を、「これは××という点でおかしい」「○○の事実に合わない」等、冷静に論破してゆきます。目次は次の通りです。
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第1章 水は字が読める?
第2章 ゲームをやりすぎると「ゲーム脳」になる?
第3章 有害食品、買ってはいけない?
第4章 血液型で性格がわかる?
第5章 動物や雲が地震を予知する?
第6章 2012年、地球は滅亡する?
第7章 アポロは月に行っていない?
第8章 こんなにあるぞ、ニセ科学
エピローグ 疑う心を大切に
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農作物の残留農薬の基準値について、パパは「基準値をオーバーしたとたんに危険になるなんてことはないんだ」と言います。そして、どうやって基準値を決めるのか、という夕帆の質問に対し「動物実験で有害物質の毒性の強さを量を色々変えて調べ、人間が一生の間毎日摂取し続けていても害が出ない量(無毒性量)を求める。それを100で割ったものが一日摂取許容量(ADI)」と説明します。動物実験の結果が人間にそのまま当てはまる保証はないし、人間の個人差もあるから100で割るのだそうです。それなら1回や2回、ADIを超えた量を食べたって問題はなさそうです。単純に「基準値を超えたら危険!!」ということではないのですね。
自然科学を勉強する人にもお勧めしたい本です。そういう人間こそ「科学的とはどういうことか」といつも考え、謙虚に世の中を眺めなければいけないのではないでしょうか。この本はそういう意味でも大変参考になります。