いぬおさんのおもしろ数学実験室

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『アラビアンナイト』、『図説 アラビアンナイト』紹介

 『アラビアンナイト』(西尾哲夫2013NHK出版)の紹介です。

『アラビアンナイト』 2013年11月 (100分 de 名著)

『アラビアンナイト』 2013年11月 (100分 de 名著)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2013/10/25
  • メディア: ムック
 

アラビアンナイト』、またの名を『千一夜物語』。日本では『千一夜物語』と言われることが多いみたいですが、アラビア語を訳すと「千一夜」となるのだそうです。中学生のとき、社会の先生が「千夜一夜が正しい」と言っていたのを憶えています。アラビアンナイトの中のいくつかしか読んだことがないのに紹介するというのもアレですが、アラビアンナイトは9世紀、アッバース朝の頃原型ができました。数百年かけてできあがった、千一夜分の夜話が収録されている説話集です。内容は……その昔、シャフリヤールという王様がいました。彼はとある事情で女性不信になり、毎晩国の若い娘を宮殿に呼び、朝に殺してしまうことを繰り返していました。大臣の娘、シェヘラザードはこれを何とかしようと、自ら志願して王様の所へ行きます。毎晩面白い話を王様に聞かせ、王様は続きを聞きたくて彼女を殺せず、これが実に千一夜続きます。そのときシェヘラザードのした話が「アラジンと魔法のランプ」であり、「アリババと四十人の盗賊」なのです。つまりこれらは作中作です。物語の成立の時期が古く、そのせいなのかお国柄なのか、尻切れとんぼみたいな話もあるそうです。訳者によって特徴が異なるとか、先の「アラジン~」、「アリババ~」は「アラビアンナイト」が誕生した時期には入っていなかったとかの話を読んだり、成立当時の社会背景や訳者たちの苦労話などを読んだり、『アラビアンナイト』の挿絵などを見たりすると「この頃の王様や一般の民衆の生活や、社会の動きなんかを勉強したら楽しいのかも」と思ったりします。
 著者の西尾氏はアラビアンナイトに関する著書をいくつも書いていますが、あと1冊。『図説 アラビアンナイト』(西尾哲夫2014河出書房新社)です。ディズニーシーにも「シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ」というアトラクションがありますよね(「心のコンパスに従って~」という、あれ)。このシンドバッドもアラビアンナイトの中のひとつのお話ということになっています(でも、どうやらこれは当初アラビアンナイトには入っていなかったらしいです)。「アラジンと魔法のランプ」あたりは読んでいる人も多いでしょう。膨大な説話集なんですが、どういう作りなのか、いつどの話が仲間入りしたのかとか、『図説 アラビアンナイト』には当時の歴史的な背景とともにそういったことが書かれています。いかにもアラビア風の、独特の美しい挿絵もたくさん。お話そのものもいくつか入っています。そもそもアラビアンナイトがどんなものなのか、知ろうと思ったらお勧めです。

新装版 図説 アラビアンナイト (ふくろうの本/世界の文化)

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