コリオリの力が物理の本に出てくるたびに「あれ? どういうやつだったっけ?」と参考書をひっくり返しているので、短くまとめておこうと思います。コリオリの力は高校の物理では出てきません。せいぜい名前くらいでしょう。「台風の何かと関係ありそうだ」くらいは分かっていますが、ちゃんと説明するには以下のように座標の変換を考えなければなりません。
2つの座標系があります。図のxy系とx’y’系です。xy系は止まっており、x’y’系はxy系に対して角速度ωで回転しています。今、ある点はxy系で座標が (x, y) だったとし、x’y’系で測ると(x’y’系で座標を読むと)(x', y') だとします。以下、導関数の計算はかなり省略してしまいます。
このとき下の①が成立します。回転の行列をかければよいのですね。右辺を計算してみると②のようになります。
①は、xy系、x’y’系の間で特に座標に限らないベクトルの成分について成立する式であることに注意しましょう。②の両辺をtで微分すれば④が得られます。文字の上の「・」は時間で微分することを表します。2回微分するときは文字の上に「・」を2つ並べます。
のとき、xy系のベクトルpはx’y’系で測るとp’ なのでしたから、次が言えます。
…………(★)
さて、詰めです。
最後の式の一番左の辺は、x’y’系に乗っている人が観測する加速度です。一番右の辺を見てください。★によれば1項目はxy系から見た加速度をx’y’系で測ったものです。2項目はx’y’系に対する速度の成分から計算される量、3項目はx’y’系の座標によって決まる量です。次回に2項目、3項目を解釈します。
④、⑥はxy系で測った速度、加速度をx’y’系で読むとどうなるか、を単純に表しているだけで、x’y’系で測った速度、加速度とは異なることに注意してください。
④より、下はxy系で測った速度をx’y’系で読むとどうなるかを表しています。しかしx’y’系で測った速度は赤い囲いの中身です。
⑥より、下はxy系で測った加速度をx’y’系で読むとどうなるかを表しています。しかしx’y’系で測った加速度は下の赤い囲いの中身です。
記号の決め方、計算などは『力学 キャンパス・ゼミ(馬場敬之、高杉豊2007マセマ出版社)』によります。分かりやすく、楽しく読める参考書だと思います。改訂版も出ています。
2020年11月24日(火) 一部訂正。おかしなことを書いていました……。