いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

國分康孝先生の本

 故・國分康孝先生は心理学者、カウンセラーです。専門書、一般向けの著書がたくさんあります。ぼくは職業柄、カウンセリングにも興味を持っていた時期があり、國分先生の本もずいぶん読みました。どれも主張がはっきりしていて論理が明晰、分かりやすいという印象です。豊富な経験と知識に裏付けされた例の引き方も素晴らしい。國分先生みたいにものを書ければ……と思います。一般向けのものをいくつか紹介すると『「なりたい自分」になる心理学』(1998知的生き方文庫)、『人間関係がラクになる心理学-悩みが消える、思いどおりの自分でいられる』(1992PHP文庫)など。

 一般向けの本にこんな話が載っていました。禅僧が2人で旅をしています。途中、増水した川の手前で困っている女の人を見かけ、僧のうちの1人が女の人を背負って向こう岸に渡してあげます。しかし僧は女の人に触れてはいけない、という決まりがあったのだそうです。もう1人は「なぜ女の人に触れたんだ」と詰るのですが、それに答えて禅僧「お前はまだ女の人を背負っているのか。私はもう降ろしてきた」と。先生はこれを例として一般的な考え方、行動の原理などを導き出します。この例だけでも面白いですが(「うーん、そうきたか!」みたいな……)、ぼくはこういうテーマでは書けません。背景の知識量が全く違うのですね。勉強しなければ……。