いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

数学バイパス『微分のひ・み・つ』、『積分のい・ず・み』紹介

 微分積分の面白い本を紹介しましょう。『微分のひ・み・つ』、『積分のい・ず・み』(黒田俊郎1977三省堂数学バイパス)です。中学2,3年にでもなればもう分かるように書かれた高校数学の本です。「中学生にも分かる」からと言って、決してレベルが低いわけではなく、かなり難しいことまで説明してあります。微分するとはグラフの傾きを求めること、積分するとは図形の面積や体積を求めること、という一貫した考えで、読者にいろいろな実験をさせながら(工作、実験のできる付録がたくさんついています)数学的な事実を正確に理解させてしまいます。人にものを教えるというのはこういうことなんだ、と目から鱗が落ちました。教員も読んだ方がいいのかも知れません。中学生や、微積分を勉強する前の高校生がこれを読んだからといって、いきなり高校の微積分の問題が解けるようになるわけではありません。しかし自分でちゃんと手を動かして計算したり工作したりしているうちに、微分積分というのはいったい何なのか、しっかりイメージできるようになることは間違いないと思います。

微分のひ・み・つ (新版数学バイパス (1))

微分のひ・み・つ (新版数学バイパス (1))

積分のい・ず・み (数学バイパス (3))

積分のい・ず・み (数学バイパス (3))

  • 作者:黒田 俊郎
  • 出版社/メーカー: 三省堂
  • 発売日: 1977/11/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 個人的にはこの数学バイパスシリーズ(8冊ある)の中ではこの2冊と『統計のみ・か・た』(高橋寛1977三省堂数学バイパス)が一番面白かったです。統計は、高校では教科書には載っていますが、本当に面白い推定や検定まではやりません。統計は少ないサンプルから全体の様子(真実)を推測するための科学です。勉強すると、例えば「新薬が効くのか効かないのか、10人に試したら7人に効果があった。薬は効いているんだろうか?」、といったことをきちんと考えることができるようになります(「検定」と言う)。こちらも本の説明に沿って実験したり手を動かして計算したりしているうちにχ^{2}検定(カイ2乗検定)あたりまで分かるようになっています。以前ブログでも紹介しました。 www.omoshiro-suugaku.com
統計のみ・か・た (数学バイパス (2))

統計のみ・か・た (数学バイパス (2))

  • 作者:高橋 寛
  • 出版社/メーカー: 三省堂
  • 発売日: 1977/07/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 数学バイパスは、新版も出たようですが(それもかなり前)amazonでは古本しかないようです。いい本がどんどん手に入りづらくなってゆく……。残念です。