前、スペースマウンテンが何台走っているのか計算する記事を書きました。
今回、その復習もしますが、まるっきり同じ方法で解ける(けれど見かけは違う)問題を他に2題、紹介します。問題同士の意外なつながりに気づくことになります。
問題1
スペースマウンテンは、あのドームの中で何台動いているか(稼働しているか)?
自分の乗った車両が1周(スタートから次回のスタートまで)する間、他の車両が何台も出発しています。車両の1周の時間を発車間隔で割れば総台数が分かるということでした。例えば1周に1分かかり、発射間隔は10秒だとすると総台数は6台です。
スペースマウンテンの総台数(N) ……6台
スペースマウンテンが出発する時間間隔(D)……10秒
スペースマウンテンが1周にかかる時間(T)……1分
つまり、T÷D=N(従ってT=DN)なのです。
なお、実際にぼくが測ったときにはT=180秒、D=8秒でした。すると総台数Nは
N=T/D=180秒/8秒=22.5台となります。
問題2
サルの島があります。この島ではサルの数はずっと一定で、600匹です。そしてサルの寿命は20年です。ここで問題。この島で1年間に生まれるサルの数を求めてください。
……答えは30匹。毎年30匹死んで、30匹生まれるのです。それだったら、毎年37匹死んで37匹生まれても同じような気もしますが……。なぜ30匹なのでしょうか。
サルの総数(N) ……600匹
サルが生まれる時間間隔(D)……D=T÷N=20年÷600匹=1/30
サルの寿命(T) ……20年
スペースマウンテンと同じことですから、T=DN、つまりD=T÷Nが成立します。サルはD=T÷N=(1/30)年毎に1匹ずつ生まれるのですから、1年で1÷(1/30)=30匹生まれます。ひょっとしてここが分かりにくいかも。例えば0.2年毎に1匹生まれるなら1年で5匹生まれるでしょ? 1÷0.2=5なのです。
公式を使わずに説明するなら……あるサルAが生まれてから死ぬまでの間、ある日数毎にサルが生まれています。サルAが死ぬときには、Aが生まれた瞬間に生きていたサルはみんな死んでいるはずです。だから、Aが死ぬときに生きているサルはAが生まれてから死ぬまでの間に生まれたサルたちだけです。つまり20年÷(サルが生まれる時間間隔)=600が成立します……とやればよいですね。
問題3
ぼくたちが住んでいる地球は太陽系(太陽と、水星~海王星)に属しており、太陽系は銀河系に属しています。太陽のように自分で光を出す星を恒星と言いますが、この銀河系では年間何個くらいの恒星が生まれているのでしょうか。銀河系は直径10万光年(光の速さで10万年かかる距離)くらいあります。あまりにも大きすぎるので「あ、1個生まれた」なんて数えているわけにはもちろんいきません。太陽は生まれてからおよそ50億年経っており、あと50億年で死ぬと言われています。寿命は100億年なのです。銀河系は太陽よりは年上です。生まれてずいぶん経っているから、状態は一応安定しており、銀河系の恒星の数は常に一定でN個、これを2000億個であると仮定してみましょう。恒星の平均的な寿命はT年=100億年、恒星が生まれる時間間隔をD年としましょう。スペースマウンテンと同じことですから、T=DN、つまり
D=T÷Nが成立します。D=T÷N=1/20です。
恒星の総数(N) ……2000億個
恒星が生まれる時間間隔(D)……D=T÷N=100億年÷2000億個=1/20
恒星の寿命(T) ……100億年
1/20年毎に1個ずつ生まれるのですから、1年間では1÷(1/20)=20個、生まれることになります。
以上、作りが同じ問題を3題、紹介しました。こうした解き方はどの道、推測に過ぎません。銀河系内の恒星の話などですから、正確な値は分からないのです。でもまるっきり分からないのではなく「×××を仮定すれば○○○が結論できる」という形の事実なら分かることがあります。「正しいかどうか分からないけれど仮に××だとすると、○○が成立するはずだ」と、限界をしっかり認識して推論する。これが科学的な姿勢というものです。