いぬおさんのおもしろ数学実験室

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生徒の質問。「対数の混ざった方程式で、真数条件に触れていない解答があるんですが……」

生徒の質問です。問題集で、次の問題の真数条件(真数>0)の扱いが違うと言うのです。

 

それぞれの解答は次のような感じです。

 

実は、教科書には

という例題があり、この問題の解答では最初に真数条件 x-2 > 0 を書いています。そうすると、どうしても「なぜ問題1では真数条件に触れないのか」ということになるでしょう。

 

一応、ぼくはこう答えます。

そもそも

の書き換えなのですから、M>0は必要な前提です。つまり問題1でももちろん

は必要な前提です。従って、最後に出た解の候補、x = 0, -7 がこの前提を満たしていることを確認しなければならないはずです。しかしこの場合、

から出てきたx = 0, -7 が★を満たすことは明らかなのです。そもそも★★は単なる2次方程式なのですから、x = 0, -7が★★を満たすかどうかの確認は普通しません。つまり★が成立することはx = 0, -7 が出た段階で分かっているわけです。

これに対して問題2はどうでしょうか。x=1,-4 が出た段階で、「この解の候補は、黙っていても真数条件を満たしている」というわけにはいきません。積極的に、真数条件を満足するか確認しなければならないのです。

なお、問題1で真数条件を確認するつもりなら、「(x+2)(x+5) > 0 、よって x < -5, -2 < x」として、最後にx = 0, -7がこれを満たすかどうかチェック……というのは大げさかも知れません。その場合、上に挙げた解答の一番最後に「どちらも真数>0をみたす」と書き加えるだけでよいと思います。

 

こういう事情が分かっていれば問題1では真数条件に触れなくてもよいのでしょうが、少しでも心配なら教科書の例題のように真数条件を書けば安全です。でも、実はどちらも同じ出版社の教科書と問題集。いかにも生徒が迷いそうなところなんだから、統一しておけばよい気がするんですがどうでしょうか。

 

……というわけで、こんな説明をしていますが、おかしなところがあったらご教授いただけるとありがたいです。