いぬおさんのおもしろ数学実験室

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和集合の要素の個数の求め方

 和集合の要素の個数を求めます。高校の数学Aの教科書では次のような説明が。

集合Xの要素の個数をn(X)で表すものとしましょう。このとき、

n(X∪Y)=n(X)+n(Y)-n(X∩Y) ……①

です。各部分の要素数をa,b,cとおくと

n(X∪Y)=a + b + c = (a + b) + (b + c) - c = n(X)+n(Y)-n(X∩Y)

となるからです。もちろんこれでいいのですが、このやり方では集合の個数が3個、4個、……となったときすぐ困ります。そこで、次のように考えます。

 n(X)+n(Y)と計算すると、共通部分X∩Yの要素が2重にカウントされてしまいます。そこで、n(X∩Y)を引くとピッタリです。これで公式①が得られました。

 同じように集合が3個のときを考えます。3個のときの公式は次の通り。

n(X∪Y∪Z)

=n(X)+n(Y)+n(Z)-n(X∩Y)-n(Y∩Z)-n(Z∩X)+n(X∩Y∩Z) ……②

要するに、3つの集合の要素の個数を単純に加え、任意の2つの集合の共通部分の要素の個数を引き、(任意の)3個の集合の共通部分の要素の個数を加えます。なお、「(任意の)」と書いたのは、集合が3個の場合はどっちみち「任意の3個」と言っても1通りしか選びようがないからです。

 正しいことを確認しましょう。n(X)+n(Y)+n(Z)までで、n(X∩Y)など猫の目の形の部分は2重にカウントされています。そこで、-n(X∩Y)-n(Y∩Z)-n(Z∩X)によって調整をします。これで1回だけカウントされるようになります。いや、しかしn(X∩Y∩Z)の部分がカウントされなくなってしまいました。3回加えて3回引いているからです。そこで、最後にn(X∩Y∩Z)を加えれば計算が合います。こうして②が得られました。この方法なら集合が4個になっても5個になっても通用します。

 ぼくはこれを高校生のとき、参考書で「取り込みと押し出しの方法」として勉強しました。今調べると「包除原理」とも呼ばれるようですね。それぞれの集合の要素の個数を加え、任意の2個の集合の共通部分の要素の個数を引き算し、任意の3個の集合の共通部分の要素の個数を加え、任意の4個の集合の共通部分の要素の個数を引き算し、……と加えたり引いたりを交互にやればよいのです。円の組み合わせでは集合4個のときの図は描けず、単純に各小部分(n(X∩Y∪Z∩W)とか)の和で公式を導くのは面倒です。今回紹介した方法が便利です。