もう5月、1年生はそろそろ絶対値記号のまざった方程式や不等式を解く時期かも知れません。
|x - 3| = 2
を解きます。方法はいくつかあります。この問題なら次がやさしいでしょう。
x-3 =±2
x= 3±2 = 5, 1
上の解き方を生徒に教えた後、次の問題を解かせてみましょう。
|x + 2| = 2x + 7
多くは次のように解くかも知れません。
x + 2 = ±(2x + 7)
x = -2 ±(2x + 7)= 2x + 5, -2x - 9
x = 2x + 5 から x = -5
x = -2x - 9 から x = -3
以上から x = -5, -3
実は x = -5 はもとの方程式を満たしません。 x = -3 だけが解です。最初の解き方では何の心配もなく x = 5, 1 を解としてしまっていますが、よいのでしょうか。
お分かりかと思いますが、方程式の右辺が0以上と決まっているなら最初の解き方でよいのですね。つまり B ≧ 0 のとき、|A| = B ⇔ A = ±B が成立するのです。教科書では最初の問題を上のような解き方で説明した後、何気なく2番目の問題を載せています。解き方はx + 2 ≧ 0 か x + 2 < 0 かで場合分け、というもの。気づかなければいいけれど、気づいた生徒は「なんでこっちは場合分けするの?」となるでしょう。説明してあげましょう。
「複雑な問題ではこうして場合分けをするのです」……なんて説明している人はいないでしょうが(^_^;)、生徒に聞かれてハッとすることはあるかも知れません。