いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

2020-01-01から1年間の記事一覧

『脱ブラック部活』紹介

『脱ブラック部活』(中小路徹2018洋泉社)を紹介しましょう。主に中学校ですが、部活について書いてあります。「ブラック」部活の具体例がたくさん載っています。目次は次の通り。 第1章 ブラック部活の実態――顧問、生徒、保護者にとっての苦痛と苦悩第2章…

『物理入門コース 力学』紹介

最近は大学1,2年くらいで勉強する内容が分かりやすく書かれた専門書がたくさん出ています。『力学 (物理入門コース1)』(戸田盛和1982岩波書店)を紹介しましょう。 力学 (物理入門コース 新装版) 作者:戸田 盛和 発売日: 2017/12/06 メディア: 単行本(ソ…

何だか、いろいろおかしいぞ……

高校は教育実習の季節です。研究授業みたいなのを最後にやって、時間のある先生たちは見に行ったりします。管理職も見に行きます。しかしせっかく見ても、自分の教科でない場合、教えている内容についてはコメントが難しい場合があります。例えば数学で、少…

第2回 2クラスで実施した試験の平均点に差があったら実力は違うと考えてよいのか?

前、平均点に差があれば実力に差があると考えてよいのか、考えました。そこでは等分散を仮定できない場合について書きました。 www.omoshiro-suugaku.com そして、分散が等しいと考えてよいのかどうか検定する方法もまとめました。 www.omoshiro-suugaku.com…

等分散の検定

1組、2組の数学の試験の点です。1列目が1組、2列目が2組です。 分散が等しいと言っていいかどうか、調べてみます。ネットを見ても記事によってあちこち違いがあったり、本も書き方が色々、Excelのデータ分析ツールの等分散の検定もパラメータの厳格な意味が…

タブレットで勉強できるの……?

どうもあっちでもこっちでもペーパレス、ペーパーレス。でも、少なくとも勉強するとか、きちんと読まなければいけない資料とかには紙が必要な気がします。まだまだペーパーレスを実現するほどの機能がPCにもスマホにもありません。30年以上前からこの辺の事…

銅鐸は何に使われたのか。物理の実験。

堅い話題が続いたので休憩です。 ①銅鐸の話です。小学校の頃、学研の『学習』という月刊誌だと思うんですが、銅鐸を粘土(紙粘土か?)か何かで作る、という付録がついたことがありました。ぼくも作ったんですが、作っている間中「???」という感じ。「こ…

四元数(しげんすう、クオータニオン)を使ってみる(5)

せっかく四元数が使えるようになったので、いくつか実験しておきます。高校では今は複素数が表す図形などについて少し勉強するようになっていますが、前は行列をやっていました。ぼくも行列を習いました。数学BとかCとかいろんな科目の間をいろんな単元が…

四元数(しげんすう、クオータニオン)を使ってみる(4)

前回までに四元数を使って空間の点を回転する方法について調べました。再度載せておきます。 試してみましょう……と言いたいのですが、手作業だと絶望的な気分になります。4項の和×3項の和×4項の和 で、勘弁です。Pythonで計算できるみたいなので、調べてやっ…

四元数(しげんすう、クオータニオン)を使ってみる(3)

平面α、βがあります。ベクトルrをαに関して対称移動したものをr’、それをβに関して対称移動したものをr’’とします。 またα、βの間の角はθ/2です。従って2本の法線ベクトルのなす角もθ/2です。よってr、r’’のなす角はθです。 とにかく急いでまとめてお…

インフルエンザ激減! ……はいいけれど……

インフルエンザが激減しているようです。今年の9月の最初の2週間と、昨年を比べて1/1000以下!! 昨年は例年に比べて凄く多かったみたいですが、おととしに比べても1/100以下!! 手洗いやマスクの効果なのでしょう。よかった、よかった……。それは確かにそ…

四元数(しげんすう、クオータニオン)を使ってみる(2)

平面αを考えます。nはαの単位法線ベクトルです。このとき、rをαに関して対称移動して得られるベクトルr’を求めます。実はこれが四元数につながります。 前話題にしたように、rのnへの正射影ベクトルは(n・r)nで得られるのでした。なお「・」は内積…

四元数(しげんすう、クオータニオン)を使ってみる(1)

とにかく人間は忘れる動物です。プログラミングでは顕著です。コンピュータのブログラムは知恵を絞って時間をかけて、がんばって書くのですが数日で細かいことはきれいに忘れてしまいます。数ヶ月経っても何となくは憶えているので、そこがタチの悪いところ…

ハノイの塔

「バラモンの塔」とも言うそうです。n枚の大きさが違うメダルがあります。図のように大きいメダルの上に小さいメダルが重ねられています。このメダルの塔を、今あるAからCへ移します。その際には ①1回に動かせるのはメダル1枚 ②小さなメダルの上に大きなメ…

a,bが互いに素ならax+by=1は整数解を持つ

次の定理を証明しましょう。なかなか面白い証明です。なお、これはすでに別の証明ですがブログで取り上げています。 www.omoshiro-suugaku.com -------------- (a,b)=1(a,bは互いに素)のとき、ax+by=1は整数解x,yをもつ。…

有理数を連分数表示する

以前、ユークリッドの互除法について書きました。 www.omoshiro-suugaku.com この記事の中の例を使います。記事では36,25に対して互除法を実行しています。 これを次のように分数の式変形で表します。 割り算をして余りを求めて、の繰り返しなので、やって…

数学的帰納法ってどんなもの?

次の不等式を示しましょう。 ただし、なぜか であることは分かっているとします。この式の両辺に1/√10 を加えると が得られます。ここで、もしも を証明できれば、(2)と(3)を組み合わせて となりますから、一番左の辺と一番右の辺を見て(1)が言え…

(x+y,xy)の存在範囲を考える

半径1の円の内部に点(x,y)があります。u=x+y、v=xyとおくとき、点(u,v)の存在する範囲を求めましょう。 よくある問題ですが、うーん、どうもイマイチ不安な解答を見かけます。 (x,y)は原点中心、半径1の円の内部にあるので が成立し…

偏差値に最大値、最小値はあるのか

をn個のデータとします。例えば1クラス分の数学の試験の得点です。平均をm、標準偏差をσとしましょう。このとき得点をxとして、 で定義されるdをxの偏差値と言います。入試でなどでよく使われますよね。普通、偏差値dは25~75くらいの値をとることにな…

雑記 Pythonは使いやすい? OSによる改行コードの違い

最近は使うプログラミング言語はPythonばかりです。さすがに慣れてきて、一応手元に辞書っぽいものを置き、ネットも使って分からないことを調べながらですが、あまり困らずに書いています。でもfor文などは多分C言語みたいな書き方をしてしまっている場面が…

{20m+16n|m, nは整数}={12r+8s|r, sは整数}を証明する

A={20m+16n|m,nは整数}、B={12r+8s|r,sは整数}とします。このときA=Bが成立します。これを示しましょう。 例えば36はAにもBにも属します。36=20・1+15・1、また36=12・3+8・0だからです。ある数が集合Aに属するかどうかはそ…

「儀式なのでマスクは禁止」って……

このコロナ禍で、今や「儀式なのでマスク禁止!」とか言われることはもうないでしょう。それどころか「必ず着用するように」なんだから。しかし、コロナが流行る前には高校でそういうことを言われていました。アンケートを採ったわけではありませんが。卒業…

グラム・シュミットの直交化法を分かりやすく説明する

線形独立(1次独立)な3個のベクトルをa,b,cとします。これらから直交する3個のベクトルを求めます。今回紹介するのはグラム・シュミットの直交化法というものです。説明は3次元空間でしますが4次元以上でも成立する方法です。 まず準備。ベクトルxと…

「1/12公式」を証明する

「1/6公式」というのがあるそうですね。少し前に記事で紹介した のことだそうです。 www.omoshiro-suugaku.com 「1/6公式」って言うんだ……。昔はそんな名前はついていなかったと思います。まあ知っていた方が便利だから名前もあった方がいいでしょう……。こ…

誰も自分のプレゼントを受け取らない確率 第3回!!

集合Aはaさんが自分のプレゼントを受け取らない配り方全体の集合でした。n人いたら、誰かが自分のプレゼントを受け取る場合の数は次の式で得られる、と前回までに書きました。 www.omoshiro-suugaku.com www.omoshiro-suugaku.com n=3 までは示してあり…

n人が誰も自分のプレゼントを受け取らない確率はn→∞とするとどうなるか?

3人がそれぞれプレゼントを持って集まりました。3個のプレゼントを目をつぶってでたらめに混ぜ、3人に配り直します。自分の持ってきたプレゼントが自分に配られることもあります。前回、誰も自分の持ってきたプレゼントを受け取らない確率を求めたのでした。…

3人が持ち寄ったプレゼントを配り直したとき、自分のものを受け取る確率は?

3人がそれぞれプレゼントを持って集まりました。3個のプレゼントを目をつぶってでたらめに混ぜ、3人に配り直します。自分の持ってきたプレゼントが自分に配られることもあります。で、問題です。誰も自分の持ってきたプレゼントを受け取らない確率を求めてみ…

『調性で読み解くクラシック』紹介

音楽とは何か、調・調性とは何か、調によって何が変わるのか、……などなど音楽番組などではなかなか聞けない話がギッシリです。ぼくはクラシック音楽が好きで、それと絡めた話も多く楽しめました。 少し前、音楽の先生に「調が違うと印象とか、何か変わるんで…

軌跡の問題を1題

mが任意の実数値をとって変わるとき、2直線 mxーy=0,x+my-2m-2=0 の交点が描く軌跡を求めます。 1本目はmにかかわらず原点を通ります。2本目は m(y-2)=ーx+2 と変形できるのでmに関わらず(2,2)を通ります。この2本の法線ベクトルはそ…

インタプリタ作りは面白い!

架空のコンピュータ言語です。文法はぼくが決めました。BASICに近いですが、適当です。 とにかくこれをコンピュータに渡すと…… 1から100までの自然数の総和 = 5050.0 と表示されます。今回、上のような「プログラム」を渡すとそれに従っていろいろ作業してく…