A={20m+16n|m,nは整数}、B={12r+8s|r,sは整数}とします。このときA=Bが成立します。これを示しましょう。
例えば36はAにもBにも属します。36=20・1+15・1、また36=12・3+8・0だからです。ある数が集合Aに属するかどうかはその数が 20×(整数)+16×(整数) という形に書けるかどうかで決まります。
さて、A=Bつまり2つの集合が等しいとはA、Bの要素が一致していることです。これでちゃんとした定義なのですが、具体的な集合を相手にしたとき、この定義によってA=Bを示すのが難しいケースがたくさんあります。そこで、
A=B ⇔ A⊂B かつ A⊃B
を使うのです。これ自体が正しいことはよいでしょう。
まずA⊂Bを示します。x∈A、つまりx=20m+16n(m、nは整数)とします。このxをx=12×(整数)+8×(整数) と表せればOKです。 x=(12m+8n)+8m+8n=12m+8(m+2n) なので確かにx∈Bです。よってA⊂Bが分かりました。次にA⊃Bを示します。x∈B、つまりx=12r+8s(r、sは整数)とします。目標はx=20×(整数)+16×(整数)と表すことです。
x=20r+16sー8(r+s)
=20r+16sー(40(r+s)ー32(r+s))
=20(rー2rーs)+16(s-2r-2s)
よってx∈Aです。1行目から2行目の変形は、8(r+s)を20の倍数と16の倍数の差で書けないかな、と考えてやってみました。
以上からA=Bが分かりました。
A=Bを直接示すより当然A⊂Bを示すのは楽なはずです。緩い条件だからです。もちろんA⊃Bも示さなければなりませんが、A=Bをいきなり……よりやりやすいのだと考えられます。高校ではこうして2つの集合が等しいことを示す機会はあまりありません。でも大学ではたくさん出てきます。そういうときは大抵A⊂B、A⊃Bを示すのです。
実はa,bが自然数であるとき、集合{am+bn|m,nは整数}はa,bの最大公約数の倍数全体の集合であることが分かっています。この事実を使ってよいなら最初の等式はすぐ分かります。