をn個のデータとします。例えば1クラス分の数学の試験の得点です。平均をm、標準偏差をσとしましょう。このとき得点をxとして、
で定義されるdをxの偏差値と言います。入試でなどでよく使われますよね。普通、偏差値dは25~75くらいの値をとることになっています。生徒は皆そういうことは分かっているようです。そこで「じゃあ、偏差値100とか、10000とか、あると思う?」と聞いてみます。生徒はいろいろ言いますが、「実は偏差値10000もあります。マイナス10000もあります。理論的にはどんな値にもなれます」と教えると驚きます。
標準偏差σはデータ全体のばらつき具合を示す数値なのでした。データが平均点の近くに密集していればσは小さくなります。一応、σは次の式で定義されます。この式から、σ(≧0)はいくらでも小さくなります。集団が平均点近くの得点ばかりをとればそうなります。
だから、標準偏差が0.1ということだってあります。このとき例えば平均点が51点、取った得点が100点だとすると偏差値は
です。あるいは0点でも取れば
となるわけです。
偏差値には1000も10000も、負の値だってあるのです! 最大値も最小値もありません。
なお、「×10」と「+50」は、特にそうでなくてもよいわけで、単に「偏差値」はこう定義されている、というだけのことです。どちらも別の値でもよいのです。平均点を取ると偏差値が50になり、普通の試験では25~75くらいに収まるように値を決めてあるだけです。
2020年9月20日(日) 追記:
「理論的にはどんな値にもなれます」と書きましたが、
なのですから、得点が整数なら偏差値は例えば超越数にはなれませんよね……。