いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

a,bが互いに素ならax+by=1は整数解を持つ

 次の定理を証明しましょう。なかなか面白い証明です。なお、これはすでに別の証明ですがブログで取り上げています。 

www.omoshiro-suugaku.com

--------------

(a,b)=1(a,bは互いに素)のとき、ax+by=1は整数解x,yをもつ。

--------------

 (証明)

a,2a,3a,……,ba(b個ある)は、bで割った余りは全て異なります。実際、もしもこの中のiaとja(i>j)はbで割った余りが等しいとすると

iaーja=(iーj)aはbで割りきれ、a,bが互いに素であることからi-jがbで割り切れなければなりません。しかし0<i-j<bなのでこれは成立しません。

bで割った余りはb種類ありますから、結局a,2a,3a,……,baをbで割った余りの中には必ず1が含まれます。それはkaだとすると、ka=qb+1(qは整数)となるはずです。これは最初の方程式がx=k,y=ーqという解を持つことを示しています。

 

 賢いなあ……という感じです。整数の問題は高校レベル、大学入試レベルでも面白いものがたくさんありますが、難しいです。もちろん暗号などへの応用もありますし、代数学で役に立ったりすることは分かっていますが、微積分や線形代数の役立ち方とは異なる気がします。何となく後回しにしがちで、いかん、いかんと思います……。