いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

角の3等分問題を解説(3)

 QからQ(√2)を作りました。√2を付け加えて新しい大きな体を作ったので、これを体の拡大と言い、Q(√2)/Q と書くのでした。また、Q(√2)に√3を添加するとQ(√2,√3)になりますが、このQ(√2,√3)/Q(√2)も体の拡大です。ここで拡大次数について説明しましょう。拡大Q(√2)/Qでは、添加した√2は

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の解なので、この拡大の拡大次数は2である、と言います(2次の拡大)。拡大Q(√2,√3)/Q(√2)では、添加した√3は

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の解なので、やはり拡大次数は2。このときQ(√2,√3)/Qの拡大次数は2×2=4となります(連鎖律)。

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なお、これが例えば2次、3次だったら2×3=6次となるのです。

 ここでは「拡大次数」という用語をきちんと定義していません。もとの体からどの程度大きな拡大体ができあがっているのか、その大きさを測る値、と考えてください。証明の流れは正しいので、機会を見て体論の本を参照してください。

 定規は直線のみ、コンパスでは円のみしか描けません。直線同志の交点を求めるなら連立1次方程式を、円と直線や円同志の交点を求めるなら2次方程式を解けばよかったですね(直線と円の交点なら、直線の方程式と円の方程式を連立し、yを消去してxの2次方程式を導いて解けばよい)。だから、その際得られる交点のx、y座標をQに添加してできるQ(x),Q(x,y)は1次か2次の拡大体です(1次方程式か2次方程式の解を添加するのだから)。従って、これを繰り返して(得られた交点も利用しながらコンパスと定規で次々に作図して)得られる体Q'の拡大次数は連鎖律から2の累乗です(実はここももっと詳しく書かなければならないところです……)。

 いい感じに盛り上がってきました。あとひと息です!!