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前回、FFTの例をお見せしました。さらに理解を確実なものにするため、もう少し別のパラメータで確認してみましょう。タイトルは「FFTとIFFT」となっていますが、今回はFFTのみで説明します。コードは以下の通りとします。
import numpy as np
import scipy as sp
from scipy.fftpack import fft
import matplotlib.pyplot as plt
from matplotlib import pyplot
pi = np.pi
#基本周期T = 3秒。基本周波数=1/3Hz。
fs = 40 #サンプリング周波数。データ1個で1/40秒。
N = 120 #データ数は3/(1/40)=120
#tは1/40秒刻みの時刻の配列。1/40秒ごとに3秒間、サンプリング
t = np.arange(0, 3, 1/40)
y = np.sin(2*pi*4*t)+2*np.sin(2*pi*10*t) #周波数は4Hz,10Hz
pyplot.plot(t, y) #元の波形を描画
pyplot.show()
#yf[k]には第k次高調波のフーリエ係数が入る
yf = sp.fftpack.fft(y[:N])
pyplot.plot(t, np.abs(yf)) #含まれる周波数成分を描画
pyplot.show()
データ数は120です。するとFFTでは第120次高調波まで得られます(が、そのうち意味があるのは第59次高調波までなのでした)。この音をT=3秒、流しています。このTが基本周期です。すると基本周波数はf=1/T=1/3Hzです。第1次高調波、第2次高調波、第3次、第4次、……、第120次高調波の周波数は順に1/3Hz、2/3Hz、3/3Hz、4/3Hz、……、120/3Hz=40Hz(=fs)です。だから、得られたFFTの結果の横軸にはこれらが目盛られていると考えます。横軸の左端は0Hz、右端は40Hz(=fs)です。
元の波形はこれです。
これに対してFFTを実行すると次のようになります。
右端の「3.0」のところには120/3=40Hzの成分(=0)が現れています(第120次高調波の周波数です)。例えば「2.5」のところには単純に比例配分して40×(2.5/3.0)=33.3Hzの成分が現れます(これも0ですが)。
左から2つ目のピークは、拡大すると以下の通りです。
「0.75」のところのピークの周波数はやはり単純に比例配分して40×(0.75/3)=10Hzです。これがコード通りの10Hzのピークなのです。
まとめましょう。
データ数をN、それだけの音が流れるに要する時間をT秒(従って基本周波数は1/Tヘルツ)とするときのFFTの結果の右端は第N次高調波の周波数成分でfsヘルツ(=N/Tヘルツ)。そこより左側は、単純に比例配分して周波数を求められる。
なお、横軸に周波数を表示させることはすぐできます。右端を40Hz(=fs)にすればよいのですから、コードの下から2行目を
pyplot.plot(t * 40 / 3, np.abs(yf)) #含まれる周波数成分を描画
と書き換えればOKです。以下のように表示されます。
一応、これでFFTの基本的な部分については迷わないはずです。おわかりかとは思いますが、うまくいった例はスニペットとして残しておき、再利用しましょう。