区間[0,1]をIで表すことにします。Iに含まれるどこのどんな狭い区間にも、√2,2√2,3√2,4√2,……の小数部分のどれかが属します。これを証明しましょう。
nを自然数とし、n√2の小数部分を(n√2)’と書くことにします。この記号はこのブログのこの記事だけのもので、世間では通用しませんので注意。今、集合SをS={(n√2)’|nは自然数}とおき、この集合について調べます。Sは要するに√2を自然数倍して手に入る数の小数部分たち全体の集合です。なおSのどの点も区間I=[0,1]に属します。つまりS⊂Iが成立します。
①Sは無限集合です。まずこれを示しましょう。異なる整数n、mに対して(n√2)’=(m√2)’であると仮定します。このときn√2-m√2は整数です。そこでn√2-m√2=(n-m)√2=k(kは整数)だとすると(n-m≠0なのでこれで割って)√2=k/(n-m)となり、√2が無理数であることに反します。つまりn≠mならば(n√2)’≠(m√2)’です。よって、Sは無限集合です。
②区間Iを幅0.01の区間、[0,0.01], [0.01, 0.02], [0.02, 0.03], ……, [0.99, 1]で覆うと、これらのどれかにはSの点が2点以上入ります(実際には無限個入る)。区間たちに1個ずつしかSの点が含まれないとするとSが無限集合にならないからです。
③Sの点が2点以上入る区間をUとし、U∋(n√2)’,(m√2)’とします(n≠m)。例えばU=[0.69, 0.7]、U∋(21√2)’,(91√2)’と選べます。(21√2)’=0.6984……、(91√2)’=0.6934……だからです。
④このとき、(91√2-21√2)=√2(91-21)√2=70√2となります。今、次の数列を考えます。
(70√2)’,(140√2)’,(210√2)’,(280√2)’,……
この数列はもちろんSの点から成ります。項の作り方から考えれば公差が0.01以下ですから、区間Iの点として間隔0.01以下で並んでいます。これより区間Iに含まれる幅0.01のどの区間にもSの点が属することが分かりました。
⑤以上は区間の幅を0.0001としても0.000001としても、同様の議論で成立することが分かります。
以上です。前、円周上の点に対して同じような議論をしました。 www.omoshiro-suugaku.com
こういう感じの話、好きです。数学って面白い、と感じる瞬間です。