少し前、ブログで古代ギリシャの三大作図問題について書きました。その中の、角の3等分問題について何回かに分けて説明してみましょう。過去の記事はこれです。↓
www.omoshiro-suugaku.comwww.omoshiro-suugaku.com
紀元前5,6世紀頃からギリシャの幾何学者たちを悩ませてきた問題が「古代ギリシャの三大作図問題」でした。立方体倍積問題、角の3等分問題、円積問題の3つです。これらが(否定的に)解決されたのはつい最近、1800年代です。結果はどれも「定規とコンパスを(有限回)使ったのでは不可能」ということでした。ここでは角の三等分問題を取り上げ、ある程度の説明をしてみます。きちんと証明するには代数学の体論の初歩の議論をしなければならず、それはなかなか大変な仕事です。そこで、なるべく証明の流れはそのままに、うまく省略しながら書くことにします。
角の3等分問題とは「定規とコンパスだけを用いて、任意に与えられた角を3等分せよ」というものでした。3大作図問題ではこの「定規とコンパスだけを用いて」というルールが課されています。やっていいのは定規で2点を通る直線を引くこと、コンパスで円を描くことだけ。例えばコンパスの足で角をコピーするのは禁止です。三角定規も使えません。従って、中学校以来よく知っている「三角定規を2枚使い、一方を滑らせて平行線を描く」は禁じ手です。
さて、線分が2本与えられたとき、その和の長さを持つ線分を作図することは可能でしょうか。直線を引き、そこへコンパスで与えられた長さを2回写し取ればよいので、これは可能です。差も作図できます。積は? 方べきの定理を用いれば可能です。
方べきの定理によると、上の図でba=1・xが成立します。つまりx=abです。与えられた長さa、bからその積abはこうして作図できるのです。商も同様です。
方べきの定理によると、1・a=bxですから、x=a/bが成立します。こうして商を作図できます。最後に平方根を。与えられたaから下のように図を描くのです。やはり方べきの定理(線分が円に接しているケース)から、1・a=x・xが成立し、x=√aが分かります。
これでぼくたちは、定規をコンパスだけを用いて、与えられた2つの数a、bの和、差、積、商、そしてaの平方根を作図できることが分かりました。
続く!!