『「世界征服」は可能か』（岡田斗司夫2007ちくまプリマ－新書）を読みました。著者の岡田氏はかつて「ガイナックス」というアニメ製作会社を立ち上げ、ヒット作も生み出した、その世界の一流のプロです。「レコーディングダイエット」の考案者でもあります。面白かったです。アニメや特撮ヒーローものなどではよく世界征服を狙う悪の集団が出てきます。考えてみれば世界征服って何なんでしょうか？ 世界征服後、彼らは何をどうしたいのでしょうか。著者はあくまでも冷静に考えます。世界征服の目的設定、世界征服するための具体的な手順人材確保、資金の調達と設備投資、……と、とにかく真面目。今まで考えたこともなかったようなことに著者が思考のメスを入れます。
特に最近のアニメは敵が必ずしも「我は悪なり」と宣言はしません（と言うよりかなり前からですが……）。敵にもそれなりの主張があって、そう言いたくなる、そう行動したくなる気持ちは分かることだって多いし、敵のキャラに同情したりもします。見る方も「単純に『正義の味方』が『悪い連中』を次々に倒してゆく」では面白くないのですね。彼らは本当に「悪い」のか、「正義」とは何か、いろいろ考えさせられる本でした。
