いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

2元1次連立方程式の加減法は「解きっぱなし」でよいのか

 2元1次連立方程式を考えます。ax + by = c, dx + ey = f というやつです。それぞれを①、②として、「①+②×4より……」などとやって変数を消去するのでした。数学の議論は「AならばB,BならばC,……」と繰り返して進むことが多いですよね。方程式を変形しながら解く場合、各段階で余分な解が混ざり込むことは普通に起こります。例えば、x=1とするとx^{2} = 1、よってx=±1。こんな風に、同値な変形でなければ解が増えてしまうのです(減ることはありません)。では最初の、連立方程式の加減法はどうなのでしょうか。

 連立方程式をP=0……①,Q=0……②としましょう。加減法を施して、kP+mQ=0……③を導きます。このとき、k、mが0でないならば [①かつ②] ⇔ [①かつ③] です。なぜか。右向きは明らかでしょう。左向きも、①、③からmQ=0が出ますから、仮定m≠0によってQ=0なので成立です。もちろん [①かつ②] ⇔ [②かつ③] も成立します。結局、加減法を使った場合、いわゆる「解の吟味(出てきた解が元の方程式を満たすことを確認すること)」は不要です。

 同値かどうかハッキリしない式変形だってありますが、そんなときでも、最後に出てきた解が最初の式を満たすかどうか確認すれば正しい議論になります。しかし加減法に関しては無制限に使ってよいということです。