いぬおさんのおもしろ数学実験室

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「1/2と2/4は『同値』」なのか?

 高校の先生が、採点の時など「正解は1/2だけど、2/4とか3/6とか、同値な分数もマルにしましょう」とか言うことがあります。……こういう「同値」の使い方はいけません。文脈からして彼らは「1/2と2/4は値が同じである。つまり同値である」と思っているのでしょう。しかし、そもそも「同値」とは何か。数学的な主張A、Bがあり、AならばBであり、しかもBならばAであるときに「AとBは同値」と言うのでした。「1/2」は数学的な主張ではないでしょう……。「x=1/2」と「x=2/4」は同値です。これならよいのです。しかし「1/2と2/4は同値」はいけません。同値とは「値が同じ」ということではないのです。

 若い先生が「1/2と2/4が同値」と言っているのを聞いてビックリしました。きちんと勉強している生徒なら「この人おかしいこと言ってる」と思うはずです。ぼくは「まずいと思いますよ」と、今回の記事のような話をしました。

 余談ですが……有理数を定義するとき、整数のペアを考えます。ペア同士の関係、(a,b)~(c,d)をadーbc=0が成立することと定義すると、関係~は同値律を満たします(同一律、対称律、推移律)。このとき関係~を同値関係と呼び、(a,b)~(c,d)のときに「(a,b)と(c,d)は同値である」と言ったりします。(a,b)は実はa/bのことです。「こういうことを考えて『1/2と2/4は同値』と言っているのだ」ならまあ理屈は通っています。それでも高校生の前で「1/2と2/4は同値」はやめた方がいいとは思います……。