いぬおさんのおもしろ数学実験室

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書籍『技術者のための線形代数学 大学の基礎数学を本気で学ぶ』紹介

今、「写真から3次元の立体を復元する」というテーマで勉強しています。線形代数が必要な分野で、こちらも並行して勉強し直しています。行列のランク、対称行列の対角化、特異値分解、……といったことが分かっていないと議論について行けません。今回紹介する書籍『技術者のための線形代数学 大学の基礎数学を本気で学ぶ』には、(特異値分解については触れていませんが)基本的な線形代数全般が大変分かりやすく説明されています。

タイトルには『技術者のための』とあります。ぼくはこういうタイトルを見ると「分かりやすさと引き換えに厳密さが犠牲になっているのかな」という感じてしまうんですが、この本に限ってはそんなことはありません。きちんと書いてあり、ごまかしはありません。分かりやすく、厳密です。ぼくはランク、対称行列の対角化、固有値問題などについて復習のつもりで読みました。著者の中井先生は以前このブログでも紹介した、『[改訂新版]ITエンジニアのための機械学習理論入門』も書いており、こちらも非常に分かりやすかったです。

www.omoshiro-suugaku.com

こういう感じの本が増えてくれれば入門者も勉強しやすくなると思います。
何枚かの写真に写っている立体(例えば家)から、その立体を復元できたら便利だし面白いですよね。復元とは、PCの中で頂点の座標などを求めることで、そうなればその立体を空間内で回転したりできます。復元に使うのは行列を用いた理論です。こうした理論を勉強するとき、例えば「行列に正則行列をかけてもランクは変わらない」といった話がたくさん出てきます。これは定理、つまり正しいことが分かっているのですから「公式とみてよいのだ」という接し方もアリでしょう。ぼくは気持ち悪いので根拠を理解しておきたいですし、そうしてこそ実地でいろいろ工夫もできるものだと思っています。だからある程度までは勉強しておきたいのです。そういう目的でこの本を使っています。
また実験をやってみるつもりです。結果はブログで紹介しましょう。