いぬおさんのおもしろ数学実験室

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曲線と接線が囲む図形の面積の計算法

 たまには積分の問題を。次を考えてみます。

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上の図のような図形の面積です。難しい、とかではありません。導関数

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です。後で使います。接線と曲線の共有点を求めましょう。

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これで共有点のx座標が分かりました。一番上の図にはすでに書き入れてあります。さて、問題の面積は以下のように計算できます。積分される関数を展開して普通に計してもよいのです。でもここでは工夫します。

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1行目から2行目までは、x=-1での接線と曲線の交点が問題になっているので①のように変形できます。ここでは何の計算も要りません。①から②までは下の図のAをBのように平行移動すれば明らかです。なぜこんな変形をするのか。これで積分の下端が0になり、計算が楽になるのです。

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あるいは、x+1=tとおいて置換積分を実行してもよいです。

 ……というわけで、事実上ほぼ積分の計算はせずに答えにたどり着くことができました。①から先の計算は、他にも楽をする方法はあります。x+1=(x-2)+3とおき、x-2を右から左へ分配するのです。

 どんな問題でもこんな感じに楽をできる、というわけではありません。接線が出てくる、特別の場合だけです。それでもなかなか面白いと思います。