条件文について書いてみます。p、qを命題とします。命題とは真偽が定まっている式や文でした。「私は人間です」や「1=3」は命題です。それぞれ、真の命題、偽の命題と言うのでした。しかし例えば「ワンワン!(犬の鳴き声)」とか「ふー、やれやれ(疲れたときのひと言)」とかは命題ではありません。「pならばq」という命題を条件文と呼びます。条件文は数学では大事です。この形の定理がたくさんあるからです(と言うより定理はほとんどがこの形)。
とかです。
条件文は真のことも偽のこともあります。「pならばq」はどんなときに偽になるのでしょうか? 具体例で見てみます。「明日晴れたらディズニーランドへ行く」……★ なんてどうですか? 少し堅苦しく書くなら「明日が晴れならばディズニーランドへ行く」です。こう約束した人が「ウソつき!」と言われるのはどんなときか? 晴れたのにディズニーランドへ行かなかったときですよね。雨だったら、行かなくてもウソつきにはなりませんし、たとえ行ったとしても「ウソつき!」とは言われないでしょう。つまり、条件文「pならばq」はpが真であってqが偽であるとき、偽だと考えればよいわけです。いろんなテキストでは「pならばq」はpが真でqが偽のときに偽、それ以外のケースは真、と説明(定義)しています。
さて、さっきの★(ディズニー)ですが、「ならば」を使わないで表現するとどうなるでしょうか。記号をひとつ、復習しておきましょう。命題pに対し、で命題「pでない」を表すのでした。「★はウソでない(真である)」と主張したければ、「『晴れで、かつランドに行かない』ということはない」を示せばよいですね。あるいは同じことですが「晴れでないか、あるいはランドに行く」を示せばよいですね。記号で書けば「pならばq」を示したければ「『pが真で、かつqが偽』ということはない」……①か、「pが偽か、またはqが真である」……②を示せばよい、となります。なお、ド・モルガンの法則
を覚えている人は①も②も同じことだ、と分かるでしょう。
「同値」「必要条件」「十分条件」「ならば」「かつ」「または」など、論理学に出てくる用語が数学でもたくさん使われます。この辺、ぼくたちの世代はある程度勉強させられていますが、今では授業も数時間しかありません。だから(意識して自分で積極的に勉強しないと)今の高校生は今回の記事のような内容はほとんど知らずにこの先も数学をやり続けることになります。特に理系なら、『集合と論理 改訂版 』(茂木勇1976科学新興社)みたいな感じの本(これはもう絶版ですが)を読んでおくことを勧めます。淡々と書いてあったりして「これは面白い!!」というのとは違いますが、モヤモヤしていて気持ち悪かったことなどがスッキリすると思います。図書館には古いテキストでこれっぽいのがいくつかあるでしょう。