いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

太陽と地上の人の間の距離は大きくなっているか、小さくなっているか?

 今この瞬間、飛んでいる飛行機は何機あるのでしょうか。あるいは、飛行機は今、全機着陸できるのでしょうか。この手の疑問、「分かりっこない」とか「分かっても何にもならない」とか切り捨てることは簡単です。しかしそういうことを言う人って、余裕がないんでしょうね……。

 「科学的」とはどういうことでしょうか。どっち道、ちゃんとした定義などないでしょう。ぼくは、分かっていることといないことを明らかにして、分かっている事実から『その先、ここまでは○○という根拠から××であることが予想できる』のように理詰めで考える、そういう姿勢を言うのだと思います。物理の問題が解ける、公式を憶えている、原子量を暗記している、……そういうことではないのですね。

 さて、ちょっと考えてみてください。今現在、あなたは太陽に近づいている最中なのでしょうか、それとも離れてゆく最中なのでしょうか。何を調べてもよいですし、誰に聞いても構いません。考え方だけでもOKです。科学的に!!

 ぼくの答えです。理科年表を使います。前にも使ったデータですが、何年か前の6月16日の地球~太陽間の距離は1.01577、6月20日は1.01612です(どちらも世界時0時、つまり日本時で9時の値です)。ここで、距離の単位は au天文単位主に太陽系内の距離を測るのに用いられ、1au=149597870700mと定義されている)です。この4日間で

(1.01612-1.01577)×149597870.700km=52359.25475km。これは4日×24時間=96時間の変化ですから、12時間でおよそ6545km離れます。これが、地球が太陽の周りを公転することによる距離の変化です。で、次。地球の半径はおよそ6371kmなので、地球の自転によって12時間(1日の1/2)で半径の2倍、つまり13000kmくらい、地上の人が太陽に近づいたり離れたりしています(地上のどこか、場所によって変わります)。さあ、これで多少分かりました。太陽までの距離はこの2つで決まりますから、どうやら少なくともこの時期には時刻によって地上の人と太陽の距離は大きくなったり小さくなったりを繰り返しているわけです。

 実際には北極点では自転の影響は受けませんから、この時期は太陽から一方的に離れるだけです。また地軸の公転面に対する傾きもありますから今回書いた単純な計算は成立しません。しかしある程度、感じは分かったと言ってよいでしょう。

 飛行機については、たまたま最近TVで「アメリカ上空を飛行しているのは5000機くらい」(すみません、記憶が曖昧です)とやっていました。ヒントになるはずです。「科学的に」考えてみましょう!!