ボーデの法則(ティティウス・ボーデの法則、Titius‐Bode law)というのを紹介しましょう。ティティウス、ボーデはどちらもドイツ人です。それぞれ物理学者、天文学者で1700年代の人です。ティティウスは太陽から地球までの距離を10とすると、太陽から各惑星までの距離が簡単な式で表されることに気づきました。当時知られていた惑星は水星、金星、地球、火星、木星、土星の6個です。金星をn=0として、
という式で太陽からの距離が求まる、というのです。地球はn=1、火星はn=2です。なお水星までは距離4でこの式とは別扱いです。正確に一致するのではなく、ほぼ、です。ぼくは小学生の頃「宇宙の不思議」っぽい漫画で読んで「おお!」と思った覚えがあります。その本には「ボーデの法則」とあり、ティティウスの名はありませんでした。ウィキペディアによると、ボーデがこれを世の中に広めたためそう呼ばれていたようです。太陽~地球間の距離=1とした距離は「天文単位(記号AU)」で表します。下の表を見て下さい。
3段目には各惑星の太陽からのボーデの法則で計算した距離、4段目には単位をAUとして書きました。例えば火星までは1.52AUです。こんな単純な式ですが、なぜかかなりよい精度です。一応、「偶然の一致」ということになっているようです。ぼくはそれでも、「すごいなあ……」と感心していました。天王星はボーデの法則より後に見つかったんですが、値もよく合っているし、いよいよもっともらしい法則、ということになりますよね。さらにn=3の位置は空欄ですが、1801年にセレス(Ceres。小惑星)が見つかりました。位置もバッチリ! しかしその後見つかった海王星ではかなりずれていました。やはり偶然か……? 実はどうもこれが偶然ではない、という説もあるみたいです。頭ごなしに「偶然に決まってる!!」というのは科学的な態度ではありません。面白そうです。合理的な解釈ができれば、きっと一定の成果ということになると思います。