いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

大学数学科案内・問題はいつ解けるか

●大学数学科案内

 大学では数学を専攻しました。1年生のうちは英語や国語もありましたが、学年が進むに従って数学の授業が増え、3年にもなると1日中数学ばっかり。数学嫌いの人にとっては想像を絶する世界でしょう。しかも、「計算できればいい」みたいなのではなく、科目によりますが定理の証明がほとんどと言ってもいい感じです。高校の数Ⅰや数Ⅱとかの分け方ではなく、「微積分」「位相幾何」「群論」「統計学」といった、分野ごとの授業です。授業には講義と演習とがあって、講義では先生が黒板で色んな定理の証明をし、学生はノートを取ります。演習は、先生が問題のコピーをくれて学生は好きな問題を解いてきて黒板に書いておき、みんなの前で説明してそれに先生が突っ込む、というのが多かったです。ぼくはこの演習が面白くて、よく授業をサボって問題を解いていました。キャンパスにある食堂や喫茶店で遅い朝ご飯を食べながら考えたものです……。ウソのような話ですが、丸1日考え、夜、夢の中でも考えていて「解けた!」と思ったことも何回かありました。朝、目が覚めてから喜んで紙に書いてみるとたいてい支離滅裂なので「やっぱり湯川秀樹やケクレみたいにはいかないなあ……」とがっかりしていたけれど……(湯川秀樹は寝床で中間子論を、ケクレは2匹の蛇がお互いのしっぽをくわえている夢を見てベンゼン環の構造を思いついたそうです)。特に「いい成績を取るんだ!」なんて目標を持っていたわけでもなく、留年はしないように注意しつつ、面白いと思う科目だけを一生懸命やっていました。高校と違い、自分の責任で何でもできるのが大学なのです。

●問題はいつ解けるか

 数学の問題が解けないとか、本を読んでいて理解できないことが出てきたときどうしますか? ぼくは「分かるまでがんばる!」というつもりでノートに書いたり前の部分を読み直したりして考えます(まあ普通……)。そして何時間かやって疲れたらいったん諦めるんですが、あとで電車の中でとか、歩きながら考えてみるのです。すると不思議なもので……というか、よくあることなので不思議でもないんですが、そういうときにフッといいことを思いつくのです。なんでだろ? 分かりませんが、考え抜いた後、アタマの中にはいろんなことがバラバラの状態で、あまり役に立たない形で浮かんでいる……という感じなのかも。そこで力を抜いてリラックスすると、自然に整理されて、今まで気づかなかった見方ができるようになったりするのかも知れません。レベルは全然違うんでしょうが、フェルマーの最終定理を証明したワイルズも「集中して考え、そのあとリラックスした瞬間に何かを思いつく」みたいなことを言っています。考えてみればさっきの湯川秀樹、ケクレの話もそういうことなのかも知れません。