いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

数学ができるようになるために

 天才的な人は別です。そういう人は勉強の仕方など、きっと何をしてもよいのでしょう。しかしたいていの人はぼくを含め、普通の人です。そういう人たちは、一体どうしたら「数学ができるようになる」のでしょうか。定義のないところに結論なし。「高校2年の秋までに受験勉強を始めれば第一志望に合格する確率は60%」とか聞くことがあります。あはは、これでは何も主張していないのと同じ。「第一志望」とは何か、「受験勉強」とは何か、まず定義しないと。……いや、数学の話でした。「数学ができる」とは……例えば「大学の理系に進んでもそれなりに授業を理解し、数学を楽しめる」くらいに考えておきましょう。

①定理の証明は1行たりとも疎かにしない
「公式を使えればいい」という姿勢でも試験(特に学校の定期試験とか)ではある程度点を取れますし、数学ができているように錯覚しがちだと思います。しかしそれと実力は別物。一番大事なのは自分の力で数学の本を読めるかということです。これが唯一の基準であって、他にはありません。そしてそれは証明をきっちりたどる力があることと同義です。
②「自分で考なければだめ」について
よく数学の教員はこれを言います。相当賢い人か、さもなければ自分が解答を見続けていたことを忘れているだけでしょう。それが大事だと言うことは分かっていますが、数学にかけられる時間、エネルギーには限界があるのです。不老不死の仙人かなんかなら別ですが。基本的な知識、技術は先に身につけておくこと。そうした上で、ほんの少しだけ「自分で考える」ことができるのだと知ってください。「自分で考えて」得られることなど、量においても質においても先人の残したものにはまず遠く及びません。ニュートンは「われわれは彼らよりも、より多くより遠くまで見ることができる。しかし、われわれの視力が鋭いからでもなく、あるいはわれわれの背丈が高いからでもなく、われわれが巨人の身体で上に高く持ち上げられているからだ」と言っています。
③より高い目標を目指せ!
生徒はよく(下手をすると教員も)「受験で使わない」と言います。そんな考え方で手に入る力などたかが知れています。ぼくが数学を勉強するのは「数学そのものが面白いから」という理由もありますが、応用面のすさまじい広さがあり、そうした知識を使っていろんな現象の裏で起こっている事実を明らかにするのが面白いからです。そういうつもりで身につけた力や技術は本物だと思います。コミックス『ヒカルの碁』で塔矢アキラは囲碁のプロ試験について「より高い目標を目指せば合格などあとからついてくる」と言っていましたよ。

 

 いろいろな考え方のあるところだと思います。抽象的な話しかできませんし、どちらが正しい、と証明できることでもないでしょう。それでも自分の基本的な考え方(哲学と言えるかも)を確認しておくのはよいことです。