いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

銀河系で毎年恒星は何個ずつ生まれているのか

ぼくたちが住んでいる地球は太陽系(太陽と、水星~海王星)に属しており、太陽系はさらに大きいグループ、銀河系に属しています。太陽のように自分で光を出す星を恒星と言い、恒星は銀河系内で毎年生まれたり死んだりしています。で、問題。この銀河系では年間何個くらいの恒星が生まれているのでしょうか。銀河系は直径10万光年(光の速さで10万年かかる距離)くらいあります。あまりにも大きすぎるので「あ、1個生まれた」なんて数えているわけにはもちろんいきません。
太陽は生まれてからおよそ50億年経っており、あと50億年で死ぬと言われています。寿命は100億年なのです。銀河系は太陽よりは年上です。銀河系は生まれてずいぶん経っているから状態は一応安定しており、銀河系の恒星の数は常に一定でN個であると考えましょう。恒星の平均的な寿命はT年、そしてこの銀河系では恒星1個がd年ごとに生まれるとしましょう。あれ……? これ、すでにこのブログで書いたスペースマウンテン、そしてサルの島の話と同じですね。つまりN=T/dが成立するのです。この銀河系にはおよそ2000~3000億個の恒星があると言われています。分からないから2000億個とします。これらの星の平均的な寿命は太陽と同じ、およそ100億年とすると、d=T/N=100億/2000億=0.05年が恒星1個が生まれるに要する時間です。従って1年では1/0.05=20個が生まれていることになります。
この計算で恒星1個が生まれるに要する時間が計算できるという話は『宇宙人はいるだろうか―地球外文明の可能性 』(水谷仁1986岩波ジュニア新書)に載っていました。まだ若かったし、「なんて夢のある話なんだろう」と感動した覚えがあります。古い本ですが、他にもドレイクの式(銀河系内に知的な生命の住む惑星が何個あるか計算するための式)など、面白い話が満載です。