太陽系の惑星A、Bの公転周期(太陽の周りを回る周期)をそれぞれ
とします。A、Bは単位時間に太陽の周りを
だけ(角度)回ることになります。今
であるとすれば(これはAが早く1周することを意味します)、単位時間に
だけの角度、近づいて(離れて)ゆきます。
さて、太陽とA、Bが一直線上に並んでから再び並ぶまでの周期を会合周期と呼びます。今、会合周期をSとしましょう。遅く動くBに観測者が乗っていると考えてみます。AはBより速く太陽を回り、会合の状態から時間Sだけ経つと再び会合します。Bに乗っていると、Aが離れてゆき、360°回って再び会合するのが見えます。かかる時間はSです。従って、単位時間にAがBを引き離す角度は
となります。そうすると
が成立です。よって以下が分かりました。
ちなみに……惑星が太陽の周りを回るとき、内側の惑星の方が短い公転周期で回ります。これはケプラーの法則(の第3法則)から分かります。これはaを軌道半径、Tを公転周期としたとき、どの惑星でも
である、というものです。
地球の内側を回る惑星は内惑星、外側を回る惑星は外惑星と言いますが、地球の公転周期をE、地球以外の惑星の公転周期をPとするとき、先の結論により次が成立します。
地球と火星の会合周期は分かります。太陽と1直線上に並ぶのだからはっきり観測できるでしょう。そして地球の公転周期Eも分かっています。すると上の式から火星の公転周期を計算できるのです。火星は内惑星なので、1本目の式を使います。
こんな話を、ぼくは高校1年のときに地学の授業で勉強しました。この地学の先生は生物が専門でした。同じ理科だけれど、多分生物と地学では大分違います。物理と生物ほどではないでしょうが、それでも先生は大変だったんじゃないかな。教員免許は「理科」ですから仕方ないのだろうけれど……。しかし分かりやすく、「へえー」という話をたくさん聞けました。専門でなかったから却ってよかったのかも知れません。例えば専門の人だと「生徒は分からないと言うけれど、こんな簡単な話の何が分からないのか分からない」みたいなことだってあり得ます。
上の公転周期の式、ぼくとしては、行くこともできない火星の公転周期を計算で出せる、という点が大変魅力的でした。