いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

職業を決めてから学部、学科を決める!?

 どうもキャリア教育という言葉の定義を見てもイマイチ意味がはっきりしません。だから具体的にどんなものかあまりわかりません。教員が「逆算」と言うアレかな……。職業について調べさせて「その職業に就くために必要なことを今からやっておきましょう」とか。多分もっと広い意味らしいですが、それはどうでもよいです。どっちみち幻想だからです。こういうことを推進する人たちには「アナタがたは高校生のときにすでに職業を決めていたんですか?」と聞きたいです。ちなみにぼくは決めていませんでした。数学や物理が好きだったので、まず大学へ行っておこう、と。そのくらいです。それでいいでしょう。困るのは「薬剤師になりたい」「医者になりたい」など、大学で勉強することがそのまま資格などにつながっているケースくらいです。それを無理して「職業をまず決める。その職業に就くのに必要な勉強をできる大学や専門学校、短大を目指す」なんて言うと、ファンタジーみたいになってしまいます。

 無理です、無理。そもそも高校生も教員も、職業などたいして知りません。日本には17000種類あるそうな。実際「ヘッドハンターという職業がありますが、彼らがどんなことをやっているか、知っていますか?」と10人くらいの会議で聞いてみたら誰も答えませんでした。ぼくはたまたま小説とドラマで知っていただけですし、バカにするのでも何でもありません。でも「自分は知らないのだ」ということを知っていないとこれはひどい。自分が知らないのに「職業を見つけましょう」というのは無責任でしょう。ぼくらはそういう専門家ではありませんし、どんな職業があってどうやって目指すのか、なんてそもそも一生に関わることです。生徒が自分で調べなくてどうするんでしょうか。ぼくらは「逆算、逆算」というかけ声に踊らされてウロウロしないことです。

 さて、じゃあ学校ではどうしたらいいのか。職業に関してはここで書いたことを伝えて、今はどんな職業があるのか、いろいろな小説やドラマなんかをよく見ておくことを勧めればよいと思います。仕事をテーマにしたドラマはたくさんあります。そんなことをしても17000種類の職業が分かるわけではないけれど、それでも「ああ、『職業選び』なんて本に載っているのは職業のホントのうわべだけなんだ」と分かるでしょう。小説やドラマにはきちんとしたもの、素晴らしいものもありますから、そういうのを紹介してやればいいと思います。上っ面だけなでるような職業教育などにたいした意味はありません。

 もともと教員は教科の専門家として雇われているのだから、そういう方向で頑張るのがよいと思います。