いぬおさんのおもしろ数学実験室

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部活動は学校を離れるか?

 何だか、中高の部活が教員の手を離れる可能性も出てきた? そうだとしてもいつになるか、どんな形でかは分かりませんからなんとも言えませんが、それでも個人的にはいいことだと思います。

 法律など疎い方なので勘違いもあるかも知れません。でも経験上言えることはあります。とにかく労働の環境として、仕組みがデタラメなのです。勤務時間については特にここ10年とかでしょうか、だいぶ細かなことをいろいろ言われるようになってきました。それが正しいんでしょう。にもかかわらず、勤務時間以降の部活動については特に変わっていません。遅くなると通学が危ないし、夏は19:30まで、冬は……などと決まっている学校も多いと思います。が、それまでは顧問の教員も学校に残っていなければなりません。部活中に事故でも起これば「オマエは学校にいなかったのか!?」となることが分かっているのです。手当でも出るんなら仕方ないかな、となるんでしょうがそんなものナシ。ちなみに……大人1人を2時間拘束するなら最低でも2千円とか3千円とか欲しいところ(コンビニのバイトと比較して下さい)。土日にしても、1日拘束されるなら……すみません、ぼくは1万や2万ならやりたくありません。

 部活をやりたい生徒も教員もいます。好きなことを思い切りできるのですからこれは素晴らしいことです。そういう教員にとってはやりがいのある仕事でしょう。それなら勧めたいですし、制度が変わっても一定の割合でそういう人たちはいるのだと思います。でも、少なくともこれまで部活動の顧問は事実上の強制でした。いろいろ覚悟した上でなら拒否はできそうですが、人間の働く職場です。こちらから相手に頼み事をしなければならないことだってあるのに、自分だけ好きにするのは相当辛いでしょう。いまさら言っても始まりませんが、どこかで誰かが部活動なるものを始め、土日もやるようになり、それが全国に広がったのでしょう。好きな人がやるのはよいのです。でも「俺もやっているのだからオマエもやれ」などとなれば話は変わります。

 手当に触れると「そんなに金が大事か」とか言われそうですが、そもそもぼくたちは自分の時間を切り売りして生活しているのです。「自分の時間」と表現すると重みがイマイチです。人生を切り売りしている、とでも言った方が深刻さが伝わりそうです。他人の時間を大事にすることは他人を大事にすることです。他人の時間を使うなら、相応のお礼、手当が必要です。当たり前のことです。せこいとか、そう低レベルの話ではありません。やりたいことがたくさんあって、大事な時間を不本意に投げ出すのは辛いのです。せめて対価が欲しいと思うのは当然でしょう。

 生徒とのつきあいもあります。日頃授業をして、話をして、質問に答えて……とやっていればかわいくなりますし、少しくらい無理してやろう……と思うようになるものです。そうなると係の先生に「××部の顧問をやってくれ」と言われればさらに断りにくくなります。部活動というのは教員の好意が前提になっているシステムなのです。ある意味、タチが悪いと言えます。

 大会が年間に何度もあります。3日間でひとつの大会をやる、なんてことも普通です。休日、平日、どちらにもあります。休日が潰れると辛いですが、平日にあれば授業を休むことになってしまいます。時間割変更などで別の日に実施したりもしますが、それはそれでその日が大変です。時間も気持ちも余裕がなくなりますし、授業の質は落ちるでしょう。時間割変更ができないこともあり、授業が減ると試験に間に合うか心配です。これも、好きな人が納得してそうなるのは構いません。しかし強制されてこういう目に遭うのはひどい話です。

 よくここまでみんな黙って「はい、はい」って言うことを聞いていたなあ、という印象です。部活を見てくれる人を雇うような話もありますが、そんな費用はどこからも出ないでしょう。教員が黙ってやっていたから成り立つ仕組みなのです。どうなるのかなあ、生徒は学校の外部のチームみたいなのに所属するようにして、部活を見たい先生はそういうところに出入りする、とかでしょうか。

 こういう話をすると「部活で大事なことをたくさん学んだ!! 塾とは違うのだから学校は部活をやるべきだ!!」と言う人が出てきても不思議ではありません。そうかも知れませんね。でも教員は授業が主たる仕事です。そのための勉強の時間、そして個人の時間が大事にされない今のままの仕組みは成立しないのだと思います。仕方がありません。