いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

方程式とは何か。恒等式とは何か。

 下手をすると、まさかどこかの試験に等式を2種類に分類する問題があったりしませんか……? 「次の等式は方程式か、恒等式か。方程式なら1、恒等式なら2を解答欄に書きなさい」みたいな。さすがにこれはないか……?

 方程式と恒等式、観点が違います。方程式はもちろん等式ですが、人間が「この等式には変数xが混ざっている。xに何を代入したらこの等式が成立するだろうか」と考えた瞬間、その等式は方程式とも呼ばれるようになるのです。最初から「これは方程式、これは違う」などと決まっているわけではありません。例えば…… 3x=sin x は、「さて、これを満たすxは何だろうか?」と考えた瞬間、方程式になるのです。あるいは、「3x+1=3x+1 を満たすxは何だろうか?」と考えたとき、その等式は方程式と呼ばれるようになるのです。ここで「オイ、それは恒等式だろ?」と思った人、いませんか? いや、そりゃ恒等式だけれど、今はそんなことは関係ありません。

 ある等式が恒等式であるとは、その等式がすべてのxに対して成立することを言います。だから、確かにさっきの等式は恒等式です。だけれど、「等式を成立させるxの値は何か」と考えているときは方程式と呼んでよいのです。等式を方程式か恒等式か、どちらかに分類しているのではありません。「方程式」、「恒等式」と呼ばれるための約束があり、それに従うだけです。