いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

教師のバトン…………

 あはは、やっちゃったね……という感じです。文科省がそういうプロジェクトを立ち上げたのです。検索すればニュースが無数にヒットします。さあ、検索!!

 要するに、今、教員の質の低下とか採用の倍率低下とか言われていて、現職の教員から「こういう素晴らしい仕事だよ」というコメントが欲しかった、ということらしいです。うまくいけばよかったのかも知れませんが……。ニュースが伝えるとおり、大変すぎる仕事だとかつらいとか若い人に勧められないとか、そんな意見ばかりが集まってしまったそうな。そりゃそうだろ、という感じです。ぼくは高校に勤めてきましたが、そもそも労働環境としておかしいのです。

 担任でもすれば生徒たちと仲良くなりますし、何かしてあげれば喜んでくれる。だから学校の少しくらい無茶な仕事も引き受けて、年度末まで何とかがんばる。4月には新しいクラスが決まり、その頃はまた1年間やれそうな気がしてくる……と、こんな感じの繰り返し。多分これで幸せな人もいて、それならそれでよろしい。しかし、ぼくの場合、最も嫌だったのが部活でした。「教師のバトン」にも「部活が大変」という意見を皆さん寄せているようです。土日も引っ張り出され、大会だ練習試合だと年がら年中授業に穴を開けたり休日が潰されたり。しかも休日の仕事でもらえる手当など高校生のバイト代にも満たない、本当の「スズメの涙」。大人1人を1日拘束しているのに……。平日は17時に勤務時間終了なんて言葉だけ。結局20時くらいまで、これも拘束されるけれど残業代などナシ。今時誰が無料で3時間仕事をするんだよ……?

 もう、いい作文を読ませて何とかなるレベルではありません。文科省もこんなことにお金をかけていないで、それを待遇の改善に使ってください。

 ぼくは教員は勉強しなければならないと思っています。数学の教員ならその周辺を。管理職は「授業勝負」とか調子のいいことを言いますが、まあそうでしょう。でもこんな状況で一体どうしろと言うんでしょうか。それでも勉強は続けてきましたがとにかくもっと時間が欲しかった。結局部活が大きな問題になっていることは間違いありません

 教員の時間がなくなる原因は他にいくつもあります。ヘンな「××委員会」というのを誰かが作り、メンバーにさせられたりします。管理職の肝煎り案件ということも。適当ですが「将来構想検討」とか「××ビジョン」とかそれっぽい名前の委員会です。他の仕事を減らせばいいんですが、そういうことは全く考えないようです。学校で模試を受けさせるのももう普通で、担当の教員は休日に出勤です。採点やデータの処理は業者の人がやってくれますが、例えば受験の日に部活の大会です、みたいなときは後日教員が放課後に時間を取って受けさせたりします。それを休む生徒もいて、それはまた後日です。とにかくサービス!! 生徒はありがたいんでしょうが……。以前会議で「負担がひどい」と主張しましたが受け入れられませんでした。

 まずは部活動。これをなんとかすることです。労働環境を改善、教員の質の低下を防ぎたい、と言うなら真っ先に取り組むべきだと思います。作文で何とかできる話ではありません