いぬおさんのおもしろ数学実験室

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生徒のアンケート結果を職員全体に公表する話

 もうずいぶん昔から学校が全校生徒のアンケートをとるのは当たり前みたいになっています。学校はそれをまとめて職員に知らせます。例えば「英語の授業に満足した……54%」みたいに。アンケートには大抵「自由記述」のような部分があって、生徒はそこに「××先生の○○は△△でひどかった」とか書いてきます。記名させるかさせないかで内容も変わるでしょうが、どちらにしてもまあいいこと、悪いこと、いろいろです。

 以前勤めていた学校でこの生徒のコメントを担当の教員が一覧にして、他のアンケートの結果とともに職員室に貼り出したことがありました。もちろん生徒のコメントの中の教員の個人名のような部分は「●●●先生」と伏せ字にしてありました。しかしですね……。例えば家庭科などは担当する教員が2人、などということもあります(学校、教科による。数学などは8人とか、結構多いところもある)。そういうとき「●●●先生の授業は△△△がいい加減で困っている」のようなコメントがあれば、同じ家庭科の該当の先生でない人には、書かれている人が分かってしまいます。あるいは、書いている内容と教員全体の時間割表(これはもちろん公開されています)から「この●●●先生ってあの人だ」と分かってしまうこともあります。

 事実なら仕方ない部分もありますが、しかし個人名が特定される可能性がある公表の仕方は問題でしょう。管理職がその先生を呼んで事情を聞くくらいで十分のはずです。言いたくはありませんが「見せしめ」の意味でわざとやっているのかも知れません。それなら担当が3人なら公表してもいいのか? A(自分)、B、C先生がいたとして、A先生は「このコメントは自分のことではない」と分かったとしましょう。さっき書いた時間割などから判断してB先生のことではありません。じゃあC先生だ! ……ということもあるでしょう。そうでなくても、書いてある内容によっては教科の人数にかかわらず個人名が特定されることがあります。こうして個人が明らかになってしまう人数が数名ならいいでしょう、ということではありません。1人だってダメなのです。そして、そもそも書いてある内容が事実と違うかも知れないことを忘れてはいけません。

 そのときはぼくはびっくりして管理職に抗議しました。多分すぐ張り紙は撤去されたと思います。そして、覚えていませんがその年以降そういう習慣はなくなったと思います。

 前に文化祭の時の業者さんのおにぎりの話を書きました。

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同じ学校での出来事です。(←別の学校でした……)こういうのを「人を大事にしない」と言います。とにかく殺伐とした学校でした。そのときの進路指導主任に「アナタがこの学校に来てから、グチャグチャとうるさくなった」と言われました。別件で話していたときでしたが、まあ邪魔だったんでしょうね……。

 念のため、全員が納得しているなら公表されようが構いません。でもぼくはそういうのは嫌ですし、文句を言う権利はあるでしょう。というか、今時よくこんなことをやったなあ……という印象です。実際に結果をまとめたのは教務だったかも知れません。この類いのアンケートは学校の「教務」か「進路指導」と呼ばれる教員のグループが実施することが多いと思います。しかしまとめたのが(ヒラ)教員だったならまずいことです。生徒が書いたアンケートに実際に触れられるのは管理職だけでしょう。今回みたいにデリケートなことが書いてある可能性があるからです。

 養護教諭は立場上、職員の健康状態を知っていることがあります。しかし他の教員には口外しないはずです。だからこそこちらも安心できるのです。比べてください。このアンケート、関わっていた人たちは一体何を考えていたんでしょうか。