いぬおさんのおもしろ数学実験室

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電気のコンセントは一方がしびれないのか?

 家庭用の100vコンセントでは縦長の穴が2つ、並んでいます。そこに電気器具のコードの先のプラグを差し込んで使います。高校のとき、授業で「2つの穴の一方は触ってもしびれない」と教わり、家で実際に試したことがあります。我ながらよくやったものだと思います……。電流の流れ方によっては危なかったかも知れません。スイッチを切った状態の電気ストーブを、プラグを深く挿さず、金属部分が見える状態で止めます。まず片方に指を触れます。しびれない。次にもう片方。ズドーン!!ときました。

 以下、コンセントの2つの並んだ穴をA、Bと呼びましょう。ある時間、穴Aから電流がBに流れ、次に逆方向に流れ、……と、これを繰り返します。電流は電位の高い方から低い方へ流れるから、Aが電位が高くBが低い状態から、Aが低くBが高い状態になり、……ということですよね。A、Bの電位が変化しているわけですが、具体的にどう変化しているのか、ずっとモヤモヤしていました。

 一方は地面につながっていて(アースされている)電位はずっと0v、もう一方は電位が高くなったり低くなったりしているのです。具体的には+141vから-141vまで(理論上は100√2vから-100√2v)。141v~0v~-141v~0v~141vで1周。1周に要する時間は関東地方では1/50秒、関西では1/60秒です。アースされている方をさっきのA、他方をBとします。Aが0vです。Bが正の電位のときは(AB間に電気器具を挟む)BからAに電流が流れ、Bが負の電位のときはAからBに電流が流れるわけです。

 これでスッキリ! ……でも不安だったので何年か経ってから某工業大学の知人の学生に聞いてみました。実際に確認もしてくれたようです(そういう器具があるみたいです)。どうもA、Bは見かけも違うらしいのですが(一方が大きいとか、記号がついているとか)、業者の人が逆につなげてしまうこともあるとネットに。そうなるともうどちらがしびれる方が分かりません。触らないに限ります。

 前、こんな話も書きました。

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ぼくが高校2年のときの数学の先生が「電気は目に見えません。だから存在しない虚数を使うとうまく電気を表現できるんです」みたいなことを言っていました。これ、ウソです!! 発電機(=モーター)が回され、電圧を発生させることがでるのでした。式で表せば k・sin(ωt) です。回転するからこうなるのです(回転とsinには深い関係がありましたよね!)。そして、複素数平面では(大きさ1の)虚数をかけ算すると点は原点の回りに回転するのでした。だから電気の世界では虚数が使われるのです。そういうわけで、電位は 100√2×sin(ωt) で変化し、-141vから+141vまで変化する(その平均が100v)のです。