ぼくも高校で数学を教わったわけですが、先生の話で印象に残っているのがあります。虚数単位iについての話です。iは を満たす特別の「数」なのでした。先生は「iは実際にはない数です。だから目に見えない電気を表すのに都合がいいんです」と。生徒は一同「おお~!ナルホド!!」でした。確かに、iは工学などで電気の話には必ず出てきます(工学では電流にiを使うので、虚数単位としてはjを使います)。しかしこれはウソ。それなのに何だか説得力があるから始末が悪い。そもそも虚数はきちんとした実在だし(下の記事参照)、 www.omoshiro-suugaku.com
iが電気を表すのに都合がいいのは虚数を使って回転(←電気と深い関係がある)をうまく表現できるから……というのが真相です。同じ先生は「となるiがあることにしちゃおう、というのと同じで、
となるeもあることにしてしまうんです」とも。コラコラ……。なかったらどうすんの? この人メチャクチャだよ……。
「教育的配慮」というやつで、分かっていながらウソをつかなければならないことはあります。そういうときは「実はごまかしですが」とか「高校では通常こんなふうに説明してしまいますが、大学ではもっときちんとやります」とか付け加えることもあります。しかしiやeの話は生徒を甘く見てしゃべったただのウソ。こういうのはいけません……。面白いけど。