いぬおさんのおもしろ数学実験室

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運動エネルギーを表す式を求める(追加)

 物理を勉強するみなさんは「何かおかしい……」と思わないでしょうか?

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物体がレールなどに沿って動くような状態で、ひもを結びつけてそれを引っ張る。レールからの摩擦力も働く。重力も働いている。上の記事の議論をする段階ではまだ重力による位置エネルギーの話も摩擦力の話も出てきていません。でもそういうものがあると知っている人は「あれ? 運動エネルギーだけを問題にしているけれど、位置エネルギーはどうなるんだろう?」などと思うかも知れません。これをご覧の皆さん、今、一瞬「おお、言われてみれば……」と思ったのでは?

 落ち着いて考えればすぐ分かるのでしょうが、手で引っ張る力、摩擦力、重力(、その他いろいろ)の和が上の記事の「物体に働く力」なんですね。重力に逆らう向きの運動の成分があればその分、結果から見ると位置エネルギーの増加にあてられるということです。結果から見ると摩擦力分は引き算された力が運動エネルギーに関わっているのです。摩擦力分は熱などに変わっているはずです。

 分かってみればどうということもない話でした。ぼくは「アレ?」と思ったので書いておくことに。

 物理の勉強は惑星の運動に差しかかりました。ここは故・矢野健太郎先生(微分幾何学者)が「惑星の軌道は2次曲線になるということが計算で出てきて『うーん』と唸ってしまった」ところです。感慨深い……。円軌道なら感覚的に分かります。太陽の周りを円運動するだけです。でも2次曲線となるとこれは直観が効きません。彗星には放物線や双曲線を描くものもあります。どういう仕組みなんだろう、と思います。歴史的にはまずケプラーケプラーの法則を明らかにし、ニュートンがそこから万有引力の法則を導きます。物理のテキストには両方向の議論が載っていると思います。ぼくが今読んでいるのは次。 

力学 (物理入門コース 新装版)

力学 (物理入門コース 新装版)

  • 作者:戸田 盛和
  • 発売日: 2017/12/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

何回かブログで書いていますが、短く分かりやすくまとまっている印象です。著者の戸田盛和先生(故人)がスッキリした議論を展開しています。学生は演習書などを併用すればよいでしょう。ぼくはこの本を先に読み終え、全体を把握してから演習書を見てみます。