いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

万有引力は物体までの距離の2乗に反比例することを導く

楕円

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は、極座標で書くと

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となります。ここで各変数は

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なのでした。図は下の通りです。

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です。F、F’は楕円の焦点です。
 もうひとつ、準備。前の記事を参照してください。 

www.omoshiro-suugaku.com

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というのがありました。⑦は動径方向の運動方程式です。⑨の両辺を2乗してrで割り、⑦に代入すると次を得ます。

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これで準備完了です。

 さて、①より

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時間で微分して

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これに⑨を用いて

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両辺を時間で微分して⑨を用いれば

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★★を用いて

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これを★へ代入して次を得ます。

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 ここでケプラーの法則を書いておきます。

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ケプラーはこの法則が成立することを示しました。

 今回の議論では惑星の軌道が楕円軌道であること(第1法則)、動径方向の運動方程式⑦、角の変化の方向の運動方程式積分した⑨(第2法則)から★★★を導いています(途中、★を導くときに⑦を使っている)。⑦も⑨も中心力の仮定から出てくるのでしたから、結局はっきりしているのは「中心力が働いており、ケプラーの第1法則が成立するなら逆2乗則」ということになります。まとめると次の通りです。

 

物体に中心力 f(r) が働くとき、もし楕円軌道を描いているならばその中心力は★★★になる。

 

これもまた面白い結果です。中心力、ケプラーの第1法則からこれだけの事実がでてくるのです。理詰めに考えるというのはこういうことか、と目からうろこが落ちる思いです。

 落ち着いて少し検討してみますが、この説明は前回も紹介したテキスト『物理入門コース 力学』に従っており、そこでは「ケプラーの第1法則、第2法則に従う惑星は太陽からの距離 r の2乗に反比例する引力を受ける」と説明してあります。しかし、示されているのは上の太字のように思います。他の本もどうなっているのか、見てみます。