いぬおさんのおもしろ数学実験室

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『言ってはいけない宇宙論 物理学7大タブー』紹介

 宇宙はどのようにできているのか、どんな構造なのか、この先どうなるのか、……といった、宇宙論について分かりやすくまとめた本『言ってはいけない宇宙論 物理学7大タブー』(小谷太郎2018幻冬舎)を読みました。 

楽しかったです。これはいわゆる啓蒙書で、細かな理屈はあまりありません。でもどんな人たちがどんなことを考えてきたのか、雰囲気が分かります。アインシュタインが不変の宇宙を考え、膨張する宇宙などは認めたがらなかったことから始まり、質量保存則が成立しない宇宙を考えた人、同じような宇宙がたくさんあるという考え方、そして宇宙を作る物質は計算によると実測から考えられる質量より遙かに重く、その原因のまだ見つかっていない質量「ダークマター」が存在するはずであることなど、宇宙論のイメージがつかめるでしょう。こういう本を読んで「自分もこんな勉強をしたい!」と考える学生が出てくるといいんですが……。

 ぼくは天体の計算なども大好きで、本も読みます。すでにブログで紹介している『日の出・日の入りの計算―天体の出没時刻の求め方』もそのうちのひとつです。日の入りの時刻など、たいていの人は計算などできないでしょう。でもきちんと理屈があり、勉強すれば理解でき、自分で計算して本当に理屈通りなのかはっきりさせることができる。大げさな言い方をすれば、ぼくはそのとき自然界の仕組みに触れることができたような気がしました。宇宙論は特に新しいものを勉強するには相当数学もやらなければならず、難しいのでしょう。簡単に検証できないものも多いと思います(だから様々な説が出てくるんでしょう……)。でもこの説にはこういう理屈があったんだ、と分かればこれは凄まじく面白いことでしょう。その辺を目指してがんばります!!